2021 Fiscal Year Research-status Report
活用困難空き家の発生・拡大を防止する計画技術の開発
Project/Area Number |
20K14921
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西野 雄一郎 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (30783708)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 空き家 / 発生予防 / 拡大防止 / 活用困難 / 再生 / リノベーション / 使い手主体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、住宅の活用困難化を防ぐ方法として使い手主体のリノベーション(以下リノベ)が創る地域コミュニティの働きに着目し、活用困難空き家の発生・ 拡大を防止し、流通・再生を促す予防的計画技術を開発することが目的である。 本年度は、大阪府和泉市父鬼集落を対象として、空き家および活用困難化住宅の実態調査を行った。父鬼集落では、移住者が長年放置されていた空き家を購入し活用・再生した事例が複数存在することがわかり、そうした事例において地域コミュニティが移住者と建物所有者との双方を橋渡しする役割を担っていることが明らかになった。 また、実際に活用困難化した空き家の所有者に空き家化の経緯についてのヒアリング調査を行い、その原因が建物耐震性など安全性への不安や資金不足への懸念、相続問題にあることがわかった。これらの問題解消に向けて所有者や親族との調整を行い、耐震性向上を比較的安価に行う方法を検討・実践した。 以上の調査結果をとりまとめ、日本建築学会の計画系論文集1編(査読あり)、建築学会大会学術講演梗概集・梗概2編(査読なし)の投稿を行なった。 計画系論文集では、戸建住宅地における使い手主体のリノベが人・モノ・コトのネットワークを生み出すことを明らかにし、まちづくりへの意識を喚起して自律的な地域活動へと派生していくことを示した。 また梗概では、具体的な活用困難化空き家の再活用に向けた実践的研究の方法として、改修工事の未経験者あるいは未熟達者が専門家からの遠隔支援を受けて空き家再生を行う計画技術を開発・実践し、その有効性を検証した。本計画は次年度も継続し、研究成果の検証を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は調査地域を訪問して建物を直接見学し、リノベーションの経験者、実施者、推進者等と関係を構築した上でリノベーション実施住宅を調査することが重要である。昨年度に引き続き新型コロナウイルスへの対応のため、対象地域を関西近郊で受け入れ体制が整っている地域に変更して調査を進めた。また、最終年度に予定していた予防的計画技術の開発に向けて、約5年空き家になっている戸建住宅のリノベーションの施工に着手した。この実践研究は来年度も継続する。以上のとおり、研究は予定を変更しつつ順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、大阪府和泉市父鬼集落での詳細な調査を実施する。空き家の活用促進に向けた取組みと活用状況 (活用件数、実施した支援の内容、支援の効果等)との相互関係を考察し、手間や資金等の事業面での実現可能性を踏まえた支援者にとって望ましい活用促進要件を解明する。またその結果を踏まえ、空き家活用の支援者と被支援者の有効性を最大化する条件を析出し、最適な計画技術を提起する。 研究がまとまり次第、査読付き論文へ投稿する。
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Causes of Carryover |
研究調査の対象地として遠隔地を予定していたが、新型コロナ禍への配慮から関西近郊に変更したため旅費が計画より少なくなり、次年度使用残額が生じた。その額は、次年度に行う研究実践である活用困難化空き家の再生に関する工具・道具類等に使用する。
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Research Products
(3 results)