2022 Fiscal Year Annual Research Report
Planning perspectives of the Dutch civil engineers that influenced the formation of urban infrastructure in modern Japan
Project/Area Number |
20K14943
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩本 一将 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (20850142)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オランダ人土木技師 / 都市形成史 / 港湾都市 / 河川 / 土木史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、昨年度に取り組んだ大阪港とロッテルダム港における港湾都市の形成過程に関する比較分析の成果をIPHS(国際都市計画史学会)で発表した。この国際学会での発表を通じて、港湾都市研究を分析する上で土木技術および土木技術者に着目することの重要性を議論することができ、次に示す本年度の研究内容へと繋げることができた。 上記の議論を踏まえ、日本とオランダで収集した史料を用いて、三国港の事例に着目して分析を進めた。具体的には三国港の突堤がオランダ人土木技師によって設計されており、この施設は2003(平成15)年に重要文化財,そして2004(平成16)年に選奨土木遺産として認定されるなど、我が国を代表する歴史的価値を持つと同時に、防波堤と導流堤の機能を有する現役の土木施設である。また、三国港突堤が竣工を迎えたのは1882(明治15)年であり、我が国の近代港湾施設としては最初期の事例となる。 この事例に対して、設計者であるEscherやDe Rijkeなどのオランダ人土木技師に着目し、建設の過程を明らかにすることで、彼らが日本の港湾施設に対してどのような技術を導入し、またその意図はどのようなものであったのかを分析した。 分析には国立国会図書館所蔵の資料やDe Rijkeの私信などを用いることで、当時の事業の進捗や設計内容などについて詳細を把握することができた点が大きな成果である。また、三国港突堤の建設には当時の内務省技師である古市公威も大きく貢献していたことが具体的に明らかとなった。そのため、三国港突堤の建設にはEscher・De Rijke・古市公威という近代を代表する技術者が関わることで成功に導くことができた事業であるとともに、オランダ人技術者の設計および技術がベースとなって完成した構造物であることを把握することができた。
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Research Products
(2 results)