2021 Fiscal Year Research-status Report
The value of "Living Labs" that contribute to the enhancement of organized citizen behavior
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20K14981
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
近藤 早映 三重大学, 工学研究科, 准教授 (40805595)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リビングラボ / 組織市民行動 / 多主体共創 / 媒介変数 / 持続可能社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で「リビングラボ」の実地調査を自粛する必要があり、文献調査と論文及び書籍執筆に従事した。文献調査は、本研究の独自視点である「『リビングラボ』の効果を説明するため、OCB(組織市民行動)という視点から評価」についての新規性を強化することを目的に行った。具体的には、欧州での「リビングラボ」の興りを時系列に整理し、現行のリビングラボの活動類型を捉えながら、目的や活動のスキームが明確でモデルケースと認識される事例の抽出とその特徴を探った。それにより、全ての「リビングラボ」は5つの視点(Value, Influence, Realism, Sustainability, Openness)を有する前提であるものの、活動を構成する主要要素がそれぞれに異なり、したがって集まるステークホルダーもケースバイケースに決定され、最終的に4つのタイプ(Research Living Labs、Corporate Living Labs、Organisational Living Labs、Intermediary Living Labs)に分類されている。そうだとすると、やはり「リビングラボ」の価値評価がどこにあるのかという疑問が残り、ここに我が国の「リビングラボ」やその活動を進める上においての分かりにくさの要因があると考察した。しかし、5つの視点にあるOpennessは、本研究の「リビングラボ」がOCBの高揚に資するという仮説を支援するものと考えられる。また、Opennessを含む5つの視点を測る具体的な指標は示されてはおらず、OCBを高揚させる媒介変数の抽出を目指す本研究に新規性があると結論付けた。 ただし、本来の目的である、どのような媒介変数を経てOCBが高揚するか、そしてその効果については、2022年度に実際の「リビングラボ」の運営者及び参加者に対する調査を行い、明らかにしてゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はコロナ禍で現地調査が叶わなかったが、「リビングラボ」の先進地である欧州での発展経緯と活動要件、そして類型について整理した。これによって、本研究の仮説設定の妥当性を示すことができ、2022年度に予定している日本の「リビングラボ」の現地調査の方向性が明確になった。また、論文化に向けて、必要な材料をそろえることができたと考えている。よって、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1)これまでに行ったアンケートと文献調査をもとに、日本の「リビングラボ」の類型を求め、それぞれの代表事例に調査(運営者及び参加者インタビュー)を行う。 2)「リビングラボ」とOCB高揚の間に存在すると仮定する媒介変数(社会鋭敏性の他の未知の因子を含む)を抽出する。 3)協力可能なリビングラボに対して、媒介変数のOCB高揚に対する効果を、「リビングラボ」活動の参加者と運営者へのアンケート調査と補完的インタビュー調査から、多変量解析する。 4)論文化と著書執筆によって、成果を発表する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定していた現地調査を行うことができず、想定していた旅費等分が次年度使用額として発生した。2022年度に、現地調査を行う事で当該助成金を執行予定である。
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