2020 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the effect of chemical structure of modified filler for high performance polyimide composites
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20K15043
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
守谷 せいら (森棟せいら) 中部大学, 工学部, 講師 (30748942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポリイミド / ナノダイヤモンド / 複合材料 / 力学物性 / 熱物性 / 熱伝導性 / 分散性 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速化・高集積化に伴う機器内の緻密化により,発熱密度は著しく増加することが知られている。特に電気自動車・燃料電池自動車をはじめ次世代を担う機器を支える半導体デバイスや基板などは,部材の高熱伝導化が急務となっている。 ナノダイヤモンド(ND)はダイヤモンド由来の高弾性率,高熱伝導性,高絶縁性など優れた物性を示すナノカーボンのひとつである。本研究は,半導体デバイスの絶縁膜や表面保護膜および基板などに用いられる樹脂であるポリイミド(PI)にNDを充てんし,NDの高熱伝導性をはじめとする優れた物性を付与することを目的とした。 PIは難溶性で加工性が低く,他材料との複合化が困難であることから,本研究では,PIの前駆体であるポリアミド酸(PAA)とNDをin-situ重合にて複合化した。in-situ重合とは,充てん材存在下で高分子を重合する手法である。予めNDを分散させた溶媒を用いてPAAを重合した。なお,NDの充てん率は,0.01~0.1 wt%とした。 走査型電子顕微鏡観察の結果,NDはPI中にてナノ次元で分散していることを確認した。X線回折測定の結果,PIの結晶化度が増加し,NDが結晶核剤として働いたことが示唆された。物性においては,わずか0.01 wt%のND充てんにより,力学物性や熱物性が飛躍的に増加した。さらに,少量のND充てんにより熱伝導性も大きく増加することを明らかにした。 PI/NDナノ複合材料の作製に加え,ND表面の化学修飾により,種々の修飾鎖長を有する疎水基を導入した。表面構造の解析の結果,いずれの化学修飾NDも同等の修飾率であり,疎水化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症感染拡大によりわずかに遅れが生じたものの,おおむね当初の予定通り進展している。ポリイミド(PI)とナノダイヤモンド(ND)の複合化手法を確立し,ごく少量のND充てんにより大きな物性向上を明らかにした。さらに,ナノダイヤモンドの化学修飾による疎水化も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,種々の修飾鎖長を有する疎水基を導入したNDとPIとの複合化を実施し,修飾鎖長による複合材料物性への影響を検討する予定である。さらに,ナノダイヤモンド(ND)充てんによりポリイミド(PI)のマトリックス構造が大きく変化すると考えられることから,その影響の詳細を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症感染拡大による学生の入構禁止や国際学会の中止などにより,若干計画に変更が生じた。次年度には当初計画通りに研究を遂行するとともに,試薬類,溶剤類,器具類,備品類および成果報告に使用する予定である。
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