2020 Fiscal Year Research-status Report
固液界面における“優先占有面”を活用した混晶半導体の単結晶育成
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20K15070
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
志賀 敬次 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30803150)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 融液成長 / 凝固 / 結晶成長 / その場観察 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、結晶/融液の固液界面のその場観察により、混晶材料の凝固過程における粒成長や欠陥形成に及ぼす支配因子を明らかにすることである。また、これら凝固現象の正確な理解に基づき、最適な種結晶の面方位を決定し、これを用いて混晶材料の単結晶成長を目指す。初年度に得られた研究実績の詳細を以下に記す。
①固液界面のその場観察装置の開発：アルゴン雰囲気下で試料を加熱・溶解し、凝固時の固液界面をデジタルマイクロスコープを用いて観察するその場観察装置を自作した。観察炉の熱源にはセラミックスヒータを使用し、小容量サイリスタを用いて温度制御をする仕組みを整えた。この装置を用いてInSbの溶解・凝固が可能であることを確認した。現在は、本装置を用いて固液界面の観察に取り組んでおり、実験は着実に進行している。
②化合物半導体InSbの双晶形成の観察：化合物半導体の混晶材料の凝固過程における欠陥形成に関する知見を得るために、多結晶InSbの凝固過程をその場観察し、固液界面における双晶形成の瞬間をとらえることに成功した。粒界と固液界面の境界に形成する溝部分で双晶核形成が生じることを明らかにした。これは、化合物半導体の凝固過程における粒界の増殖が、粒界溝を起点にして起きることを示す結果であり、化合物半導体の欠陥形成に関して重要な知見が得られた。また、固相/固相/液相の三相境界モデルを用いて双晶形成にともなう自由エネルギー変化を計算し、InSbの粒界溝における双晶核形成に必要な過冷却度を見積もることができた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は、初年度に①固液界面のその場観察装置の開発・予備実験および②次年度に向けたその場観察用の種結晶の作製を予定していた。①に関しては、新型コロナウイルスの影響で予定より２か月程度遅れたものの、年度内に装置の組み立てを終えることができ、その場観察実験の導入に関してはほぼ予定通りに進展している。②に関しては、GaSbとSbの凝固時の双晶粒界の形成を低減することが難しく、バルク単結晶を得ることができなかった。一方、固液界面のその場観察の練習として既存の装置を用いてInSbの固液界面観察に取り組み、双晶形成の瞬間を観察することができた。これにより、双晶核形成に必要な過冷却度の計算に成功し、化合物半導体の双晶形成の支配因子に関する重要な知見を得ることができた。これらを総合的に考え、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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| Strategy for Future Research Activity |
初年度に作成したその場観察装置を利用して固液界面の観察実験に取り組む。種結晶の作製に関しては既存の設備では温度場の精密な制御ができず単結晶成長は難しいと判断し、種結晶材料は外部調達をする方向で検討する。当初は半導体や半金属の混晶材料に限定して研究を進める予定であったが、デジタルマイクロスコープを用いたその場観察の手法に習熟し、InSbの固液界面観察の見込みが立ったことから、対象を金属（アルミニウム合金など）にも広げる予定である。
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| Causes of Carryover |
当初は、旅費として130,000円を計上していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の状況下で出張がすべてキャンセルとなったため、旅費分を他の研究費に充てることとなった。また、その場観察に用いる観察炉の発注を外注予定であったが、新型コロナウイルス感染の拡大にともない業者との打ち合わせを頻繁に行うことが難しくなり、最終的に所内の技術センターに依頼することとなった。そのため、納期は遅くなったが、工作費は安くなったため、使用額が想定よりも少なくなった。以上から、当初予定していた使用額と差が生じてしまった。次年度使用額に関しては、その場観察装置の部材や原料の購入費に充てる予定である。
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