2022 Fiscal Year Annual Research Report
固液界面における“優先占有面”を活用した混晶半導体の単結晶育成
Project/Area Number |
20K15070
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
志賀 敬次 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (30803150)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 凝固 / 結晶成長 / その場観察 / 組織形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、その場観察実験に基づく融液成長メカニズムの解明と結晶成長の学術的な指針の構築を目指し、半金属・半導体材料だけでなく、金属材料の粒成長や欠陥形成メカニズムの解明を目的として、アルミニウム合金の凝固その場観察を行った。Al-20.3%Si過共晶合金の一方向凝固過程のその場観察により、初晶Siの晶出および共晶Al-Siの成長過程を明らかにした。一方向に共晶成長するマクロな固液界面の形状は平らではなく、時間の経過にともないその形状は逐次変化した。液相側に晶出したファセットシリコンを起点に共晶組織が放射状に成長し、初晶Siが共晶の核形成の起点になることが分かった。この結果は、Al-Siの共晶組織の先行相がSiであることと整合しており、液相中のSiが共晶の核形成の起点になるという既往報告と一致する結果である。固液界面のその場観察により、共晶Al-Siの核形成の起点が初晶Siであることを確かめた。 研究期間全体を通じて、自作したその場観察装置を用いることにより、粒界溝を起点とした半導体InSbの双晶形成過程、半金属Sbの固液界面不安定およびファセット界面の形成過程、および、金属アルミニウム合金の共晶成長過程を直接観察したことにより、融液成長において固液界面における欠陥の形成、粒成長および核形成が凝固組織の形成に著しい影響を及ぼすことを実証した。これらの知見は、融液成長ダイナミクスに界面エネルギーと成長カイネティクスが著しい影響を及ぼすことを明確に示すものであり、高品質材料の成長に適した結晶成長の学術的な指針の構築に有益な知見を与えるものと期待する。
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