2020 Fiscal Year Research-status Report
高速信号処理技術を用いた3次元AFMのリアルタイムインテリジェント制御
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20K15172
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮田 一輝 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 助教 (10788243)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のAFM技術の高速化・3次元化によって、固液界面の構造や動態を原子・分子スケールで捉えることが可能となったが、その解析は未だ鉱物結晶や脂質膜のように原子・分子レベルで緻密に並んだ安定な構造に限られている。その要因として、現在の高速・3次元計測では従来のAFMと同じ探針制御手法を用いているため、界面現象や熱揺動により逐次変化する構造・性質に対して常に計測条件を最適化することや、柔らかい試料を侵襲せずに計測することが困難である点が挙げられる。本研究では、高速信号処理技術をAFM計測へ適用することで、インテリジェントなリアルタイム測定条件制御や非侵襲な探針-試料間距離制御機構を開発し、幅広い試料の高速3次元サブナノスケール構造・動態解析を実現する。 第一にインテリジェントリアルタイム測定制御を実現するため、本年度は機械学習を用いたAFM画像認識システムの技術基盤構築に取り組んだ。Pythonで使用可能な画像認識ライブラリの中からAFM画像に最適なものを比較評価した。また画像認識に用いる教師データの選定も行った。一方で、非侵襲な探針-試料間距離制御機構を開発するため、Field Programmable Gate Array(FPGA)を用いたAFMコントローラの開発に取り組んだ。さらに、本研究で開発した技術の有用性を示すための計測試料として細胞を選定し、これをAFMで計測するための計測条件確立に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は探針-試料間距離制御機構を行うためのAFMコントローラの開発に加え、次年度実施予定だった試料の計測条件を確立しており、想定以上に研究が進行している。一方で、インテリジェントリアルタイム測定制御については想定以上に難航しており、当初目標である画像認識には至っていない。総合的には順調に進んでいるが、インテリジェントリアルタイム測定制御については集中して取り組む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
第一にインテリジェントリアルタイム測定制御技術を確立する。また、本技術と探針-試料間距離制御を組み合わせ、細胞等を始めとする幅広い試料の高速3次元実計測に取り組む。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍の影響により学会等がキャンセルやオンライン化が相次いだため、旅費及びその他の支出がゼロとなった。研究の進展により物品費が当初予定額よりも多く支出があったものの、全体的には15万円程度の差引額となった。次年度にも学会等の出席を見込んで旅費・その他費用を計上しているが、本年度同様コロナ禍の影響で支出が少なくなった場合には、物品費として利用しさらなる研究進展を目指す。
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Research Products
(1 results)