2020 Fiscal Year Research-status Report
生分解性プラスチックを利用したMn酸化細菌培養・レアメタル回収法の開発
Project/Area Number |
20K15222
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
青木 仁孝 和歌山工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (80775809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マンガン酸化 / バイオマンガン酸化物 / 生分解性プラスチック / 培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
レアメタル資源確保の観点において、都市鉱山や自然環境からレアメタルを回収する技術の開発は重要な課題の1つである。本研究課題の目的は、近年注目されているレアメタル回収バイオプロセスの確立に必要不可欠なマンガン酸化微生物コンソーシアムの効果的な集積培養法を開発することである。開発する新規集積培養法は、生物分解によって水溶性低分子有機物を徐放する性質を持つ生分解性プラスチックを個体基質として用いることで、貧栄養環境を好むと考えられている従属栄養性マンガン酸化細菌の集積培養を達成しようとするものである。 これまでの研究では、生分解性プラスチックの一種であるポリカプトラクトンがマンガン酸化微生物コンソーシアムの集積培養に有効な個体基質かどうかについて調査を行った。溶存マンガンを含む人工海水培地を一定期間ごとに交換しながら環境試料(海水)からマンガン酸化微生物コンソーシアムの集積培養を試みたところ、マンガン酸化反応に由来すると考えられる溶存マンガンの除去が継続的に確認された。また、マンガン酸化物が集積培養物中に存在していることが、ロイコベルベリンブルー比色分析法により確認された。原核生物が共通して保有する16S rRNA 遺伝子配列に基づいた微生物群集構造解析の結果からは、ポリカプトラクトン分解能力やマンガン酸化能力を有する既知の細菌が多く報告されているProteobacteria門に属する細菌が、集積培養物中で特に優占化していることが明らかとなった。これらの結果から、ポリカプトラクトンがマンガン酸化微生物コンソーシアムの集積培養に有効な個体基質であると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリカプトラクトンを個体基質として用いることでマンガン酸化微生物コンソーシアムを培養できることが明らかとなり、この研究成果を国際学術雑誌「Biotechnology Letters」において発表できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリカプトラクトンを個体基質とするバイオリアクターを構築し、その連続運転を行うことで、新規バイオリアクターによるマンガン酸化性能を評価する。また、遺伝子解析を実施することで、新規培養法で獲得可能なマンガン酸化微生物コンソーシアムによるマンガン酸化メカニズムについて明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:コロナ禍による研究活動の制限により、研究開始当初に予定していた一部の実験や研究打ち合わせ・成果発表などが実施できなかったため。 使用計画:現在開発を進めているバイオリアクターの改良や遺伝子解析・水質分析用の試薬・センサー類等の購入のために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)