2020 Fiscal Year Research-status Report
Electrochemical Synthesis of Chiral Heterohelicenes
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20K15281
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐古 真 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (20804090)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヘリセン / 酸化カップリング / クロスカップリング / 電解合成 / ワンポット反応 / 円偏光発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電気化学的手法を活用する新規ヘテロヘリセン類の革新的合成法の確立を目指す。これまでに報告されているヘリセン化合物の合成例の多くは、煩雑な合成や高温条件を必要とする手法が多い。電解合成によってヘリセンを効率よく合成している例は無く、従来のヘリセンの合成研究とは一線を画している。本手法により、多様性に富んだキラルヘリセン化合物の迅速合成が可能となれば、様々な分野の機能性化合物群を提供でき、ヘリセンの機能性材料としての発展に貢献できる。 まず、反応基質としてピロール環を有する多環式フェノールと2-ナフトール誘導体を1対1のモル比で混合し、電解質を含む有機溶媒に溶解した。両極に白金電極を用いて定電流電解にて反応条件を種々検討した。その結果、電解質としてテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート(Bu4NPF6)、溶媒としてジクロロメタン(CH2Cl2)を用い、電流密度0.45 mA/cm2で室温中空気下にて反応を実施すると、ピロール環とフラン環を含む[7]ヘリセン化合物が得られた。その構造は各種分光法やX線結晶構造解析により同定した。本反応の官能基耐性について調査したところ、ブロモ基やヨード基などのハロゲンや、ピナコラートボリル基を持つ反応基質も適用可能であり、ヘリセン合成後の化学変換も実施可能である。得られたヘリセン誘導体はラセミ体であるものの、分取用キラルカラムを用いる高速液体クロマトグラフィーによって光学分割を行い、合成したヘリセンの光学純粋体を得ることにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたヘテロヘリセンの合成や同定を達成した。また、合成したヘリセンの光学純粋体も得ることが出来、それらのキラル光学特性の調査に必要な量も確保している。現在のところ、ヘリセン合成に関する研究は研究計画書通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
電気化学的手法によりヘテロ[7]ヘリセンの簡便合成を達成し、光学分割によりそれらの光学純粋体を得ることに成功した。今後は、光学純粋体のキラル光学特性(円二色性や円偏光発光特性)について調査を行う。また、本手法を応用して、他のヘリセン誘導体の合成を検討する。予備的知見である者の、同反応条件下にてヘリセンからもう一段階脱水素環化反応が進行した化合物の形成が確認されており、本化合物についても同様に研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
反応基質の合成が比較的安価な市販試薬から実施でき、また光学分割に必要な分取用キラルカラムは研究室で保有しているカラムで実行可能であったため、物品費の繰り越しがあった。また、多くの学会がオンラインでの実施となり、旅費の繰り越しもあった。今年度請求分により、次年度に新たな化学薬品やキラルカラムの購入、関連学会での情報収集に研究費を充てる。
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