2020 Fiscal Year Research-status Report
完全a軸配向PZT圧電薄膜の5G高速通信機器搭載に向けた材料設計
Project/Area Number |
20K15372
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
江原 祥隆 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 講師 (00868755)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 強誘電体薄膜 / 強弾性ドメイン / エピタキシャル成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は強誘電体中の強弾性ドメインの電界応答速度の限界とその限界に達したメカニズムを明らかにし、将来の高速通信機器に応用へと展開するための材料設計の基盤を確立することである。完全に非分極軸に配向したエピタキシャル膜の作製を行い電気特性及び高周波パルス電界下の構造解析を行う。調査する強誘電体材料は代表的な材料であるジルコン酸チタン酸鉛を用いた。 本年度は以下のような結果が得られた。 (1)完全a軸の作製及びその構造の膜厚依存を調査を実施した。具体的にはKTaO3基板上に完全a軸配向PbTiO3膜の作製を試みた。その結果、臨界膜厚が約90nmで分極軸配向が確認できた。(2)スイッチング量と正方晶性(c/a)の関係性を調査するために、各Zr組成(Pb(ZrxTi1-x)O3、x =0、0.1 0.2, 0.3, 0.4, 0.5)で完全a軸薄膜の作製を試みた。ジルコニアを固溶させることで膜の格子定数が大きくなり、基板と膜との格子ミスマッチが増加し臨界膜厚が減少した。また最終的にZrが多くなるとa軸配向膜が得られないことが確認できた。Zr組成が大きい場合は、KTaO3単結晶基板上に適切な格子定数を持つバッファー層を導入することで、完全a軸膜を作製することに成功した。 今後はこれらのドメインが制御された薄膜を用い、電界の高速印加速度(数MHzまで)の強誘電性と圧電特性の影響を調査し応答速度に関して最適なPZT材料の各パラメータを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和二年度では評価に必要な材料作製を行った。各Zr組成において完全a軸配向膜を作製することに成功しており、おおむね予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は作製した材料の電気的な特性評価を実施する予定である。得られた知見より、強誘電体材料中の非分極軸/強弾性ドメインの電界応答速度の本質的な限界はどこまでか、またその限界に達したメカニズムを解明し、最終的に高周波応答デバイス向けの圧電材料の設計指針を提案する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会や研究会、および外部施設の測定に必要な旅費を使用しなかったため。感染症の全国の状況を見て次年度に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)