2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of QTLs involved in root thickness in the wild sweetpotato
Project/Area Number |
20K15505
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
末松 恵祐 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 研究員 (30807996)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Ipomoea trifida / サツマイモ野生種 / 根の肥大 / QTL |
Outline of Annual Research Achievements |
サツマイモ二倍体野生種(Ipomoea trifida)には、根が肥大する系統0431-1と根が肥大しない系統Mx23Hmが知られている。前年度の研究では、0431-1に由来する根の肥大性QTL(qRT1)が見出された。今年度はqRT1に関する戻し交配系統BC5F1-RT1(0431-1/Mx23Hmヘテロ)とBC5F1-rt1(Mx23Hm型ホモ)を作出し、比較した。その結果、地上部重および総根重に有意な差は認められなかったが、主根重および主根直径はBC5F1-rt1に対してBC5F1-RT1が有意に大きかった。さらに、両親間に見られるInDelを利用したDNAマーカーによって、戻し交配系統の遺伝子型多型を詳細に解析し、qRT1の候補領域を約400kbに絞り込んだ。その候補領域のゲノム配列を0431-1とMx23Hmとで比較したところ、Mx23Hmにおいて約80kbの欠失を含む構造変異の存在が示唆された。この欠失区間には2遺伝子が座上しており、これらを原因遺伝子の最有力候補として、遺伝子発現解析を進めている。 また、6倍体サツマイモと6倍体I. trifidaとのF1集団を用いて、栽培形質に関わるゲノムワイド関連解析を実施した。その結果、塊根の色素量ならびに巻つる性や茎径などの地上部形質に関わる遺伝子座を検出することができた。一方で、塊根形成能に関わる遺伝子座は検出できなかった。その一因として、高次倍数体において潜性形質は出現しづらいことから、十分に表現型が分離しなかったためではないかと推測された。以上の結果を踏まえ、サツマイモにおける塊根形成能に関わるQTLを同定するための新規戻し交配集団の作出を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
QTL領域の絞り込みならび候補遺伝子の選定など順調に進展した。当初計画ではトランスクリプトーム解析を実施する予定であったが、供試材料育成の観点から最終年に実施することが適切であると判断した。一方で、最終年に実施予定であった6倍体サツマイモとI. trifidaの遺伝解析を前倒しで実施した。以上のことから、全体の計画に遅延はなく、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
qRT1に関する準同質遺伝子系統(BC5F3)を用いて、形態学的解析、ゲノム解析、遺伝子発現解析を実施する。系統間の根における遺伝子発現の差異を経時的、組織別に比較することで候補遺伝子を選定する。また、リシーケンスによりMx23Hmの欠失区間を特定し、その領域の0431-1型のDNA配列を決定する。
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Causes of Carryover |
研究材料作成の都合により、今年度実施予定であったトランスクリプトーム解析を次年度に行うことになった。また、計画から前倒しして実施した遺伝解析は、委託先が新型の次世代シーケンサーを導入したため予定より安価になった。
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