2021 Fiscal Year Research-status Report
老化・肥満で増加する血中小分子ヒアルロン酸による肝臓の炎症・線維化誘導機構の解明
Project/Area Number |
20K15695
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高杉 征樹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30711965)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
血中小分子ヒアルロン酸の生体内における役割を解析するため、小分子ヒアルロン酸を徐放する浸透圧ポンプをマウスの生体内に埋め込み、一週間に渡り生体内の血中ヒアルロン酸レベルをおおよそ倍化させ、血中ヒアルロン酸を処理し、ひいてはその影響を受ける事が予想される肝臓、腎臓、そして脾臓についてとランスクリプトーム解析を実施した。結果、血中だけでなく肝臓でもヒアルロン酸レベルが倍化していたにも関わらず、驚いた事に全くと言って良いほどこれらの臓器の遺伝子発現パターンには影響が認められない事がわかった。そこで、血中ヒアルロン酸レベルをさらに長期に渡り増加させ、全身的な健康状態を長期に渡りモニターし、肝臓、腎臓、脾臓に限らずに主要組織に生じる影響を調べるため、ヒアルロン酸合成酵素(HAS2)のBACトランスジェニックマウスを作出した。全身でトランスジーンを強力に発現してしまう通常のトランスジェニックマウスと異なり、BACトランスジェニックマウスを用いる事で、HAS2を発現する細胞・組織についてのみ、HAS2レベルを1.5倍から数倍までの幅で上昇させる事が可能となり、より自然な条件に近い状態で解析を進める事ができる。さらにヒアルロン酸の作用がCD44を介したものであるかについての知見を得るため、併せてCD44 BACトランスジェニックマウスも作出しており、現在確立したHAS2及びCD44 BACトランスジェニックマウスを繁殖させ実験の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炎症を誘導すると考えられた血中小分子ヒアルロン酸が、少なくとも一週間に渡りその量を倍化させる程度では顕著な効果を示さなかった事から、より長期の実験モデルへの切り替えを迫られ、浸透圧ポンプの利用でなくヒアルロン酸合成酵素のBACトランスジェニックマウスを用いる事となった。研究自体は滞りなく進行しているものの、トランスジェニックマウスの作出に相当の時間を要したため全体の計画は止むを得ず遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作出したHAS2及びCD44 BACトランスジェニックマウスを自然老化させつつ運動機能、認知機能、血中炎症マーカー、及び寿命を追跡していく。同時に、これらのマウスにDMBA塗布/高脂肪食給餌による肝がん誘導モデルにおいて、ヒアルロン酸レベルの増加がもたらす影響についても解析を行っていく。
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