2020 Fiscal Year Research-status Report
新規糖尿病モデルマウスにおける、インスリン分泌不全原因遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
20K15708
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
中野 堅太 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 動物実験施設 専任研究員 (10753189)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / インスリン分泌 / マウス / 疾患モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
insulin hyposecretion(ihs)マウスは、日本人に特徴的な非肥満インスリン分泌不全型の新規糖尿病モデルである。これまでの解析から、ihsマウスの糖尿病の原因遺伝子が、マウス第18番染色体上の約0.5 Mbの領域に確実に存在することが明らかとなった。本研究はihsマウスの糖尿病原因遺伝子を同定し、その機能を明らかにすることを目的とする。 ihs遺伝子座に存在する20個の候補遺伝子に関して、ihsマウスの単離膵島を用いた遺伝子発現解析を行った。その結果、有意な発現増加を示す遺伝子2個、発現低下を示す遺伝子2個を同定した。この中で、ihsマウスにおいてほぼ完全に遺伝子発現が消失していた遺伝子に着目し、膵島以外の各組織での遺伝子発現を解析した。その結果、本遺伝子は脳と精巣を除くほぼ全ての臓器(心臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸、骨格筋)において、発現が消失していることが明らかとなった。また、脳と精巣においてもコントロールと比較して発現量は有意に低下していた。これらの結果から本遺伝子が原因遺伝子である可能性が高いと考えられる。データベースの解析から本遺伝子は、機能未知の遺伝子であることがわかった。そこで、CRISPR/Cas9システムを用いて遺伝子ノックアウトマウスを作製し、10 bpの欠損をヘテロで有するファウンダーマウスを得た。現在、本マウスの系統化を進めている。また、本遺伝子の機能および相互作用分子を同定するため、本遺伝子をノックアウトしたHEK293細胞の作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有力な候補遺伝子を同定し、ノックアウトマウスの作製・系統化も順調に進んでいる。また、同定した候補遺伝子をノックアウトした293細胞を作製しており機能解析に向けたツールも揃いつつある。一方、パスウェイ解析による本遺伝子の標的パスウェイの同定に関してはやや遅れているが、来年度に実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
系統化したノックアウトマウスを用い、経口糖負荷試験・インスリン負荷試験・膵灌流実験・膵島の形態学的解析により表現型を解析する。RNA-seqによるパスウェイ解析により、本遺伝子の標的パスウェイを同定する。当初、単離膵島を使用する計画であったが、RNA-seqに必要なRNAを得るためには大量のマウスを使用しなければならないため、候補遺伝子をノックアウトしたMIN6あるいはHEK293細胞を用いることも検討する。
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Causes of Carryover |
ノックアウトマウスの系統化を優先し、RNA-seqによるパスウェイ解析を次年度に繰り越したため、約50万円を次年度に繰り越した。
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