2020 Fiscal Year Research-status Report
機械刺激感受性チャネルTMCタンパク質の構造機能解析
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20K15754
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草木迫 司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (80815316)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チャネル / 膜タンパク質 / クライオ電子顕微鏡 / 単粒子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
音すなわち空気の振動によって機械刺激を受けた内耳の有毛細胞では,膜タンパク質を含むMechanotransduction (MET) channel複合体が機械刺激を電気シグナルへと変換することで,有毛細胞から聴神経へ情報が伝達されると考えられている。MET channel複合体のチャネル透過経路を形成するサブユニットの最有力候補がTMC1およびTMC2である。しかしながら,TMC1/TMC2がどのようなイオン透過経路を形成しているのか,また機械刺激によってどのようにチャネルが開閉するのかという核心的な疑問については未だ解明されていない。TMC1/TMC2のイオン透過機構・機械刺激感受性チャネル開閉機構を解明することを目的として,本年度はクライオ電子顕微鏡による構造決定に向けて,熱安定化TMC2サンプルを調製した。精製過程で界面活性剤をGDNに置換したサンプルの他,脂質環境を模したnanodiscに精製TMCを再構成したサンプルを調製した。膜骨格タンパク質や脂質の種類など,nanodisc再構成条件を検討してグリッドを作製し,クライオ電子顕微鏡による撮影画像を得た。また,単粒子解析における粒子像の方位決めを補助するために,TMCサンプルを特異的に認識するnanobodyをベースに分子量を増やしたmegabodyとの複合体サンプルの調製を目指して,yeast surface displayを用いたnanobody library selectionの系の確立を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱安定化TMC2のnanodisc再構成に成功し,クライオ電子顕微鏡による撮影画像の解析から二次元平均化像を得て,さらに単粒子解析による構造決定に向けてnanobody library selectionの系の確立を推進したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Nanobody library selectionの系を確立し,TMCサンプルと特異的に認識するnanobodyを得てmegabodyを作製する。TMCとmegabodyの複合体サンプルを調製し,クライオ電子顕微鏡による単粒子解析で構造を決定する。構造情報を基に変異体を作製し,電気生理学的解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
学会がオンライン開催になり,当初想定していた旅費の支出が無かったため。また,nanobody library selectionに多くの精製試料が必要になることが予想されるため,翌年度には細胞培養のための培地や精製に必要な界面活性剤の購入に使用する。
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Research Products
(12 results)