2022 Fiscal Year Research-status Report
カンナビノイドをツールとした自閉スペクトラムの画期的モデル動物の開発と治療研究
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20K16019
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
縄田 陽子 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (00435140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉症モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳内大麻様物質(エンドカンナビノイド)に着目し、カンナビノイドシステムの低下と自閉スペクトラム症(ASD)との関連性について、カンナビノイドCB1受容体遺伝子欠損(CB1KO)マウスを用いて検証することを目的としている。自閉スペクトラム症(ASD)は、我が国における有病率が1%を超える神経発達症で、継続的な治療を要する症例では薬物治療が行われる。現在のASDに対する薬物治療は、精神症状への対症療法に限られており、根本的な治療法は確立されておらず、ASDの病態解明と新規治療薬の創出が望まれている。 研究計画全体の検討項目は、CB1KOマウスにおける①ASD様行動の発現の有無、②血中および脳内におけるASD関連因子の発現変容の有無、および③ASDの新規治療薬の探索の3点である。今年度の研究実績は以下の通りである。 ①の検討では、CB1KOマウスにおけるASD様症状の発現には性差が認められることが明らかになった。また、②の検討では、ASDのバイオマーカーとしての可能性が示唆されている複数の因子に着目して血中変容を調べたところ、CB1KOマウスは、野生型マウスと比較してこれらの血清値に異常を示すことが明らかになった。さらに、③の検討では、これらのバイオマーカ―に関連するリガンドがCB1KOマウスのASD様行動異常を改善することも明らかになった。 最終年度は、血中で変容が認められた因子の脳内変容を探るとともに、臨床においてASDの発症に深くかかわる環境要因にも着目し検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べたとおり、当初計画した内容を該当年度におおむね実施出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続きCB1KOマウスにおけるASD様行動異常を改善するリガンドの探索を行うとともに、血中において異常値を示した因子の脳内変容を探る。また、臨床においてASDの発症に深くかかわる環境要因にも着目し検討を進める予定である。さらに、これまでに得られた成果は、学会発表および学術論文投稿を通して発表する。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた動物飼育用飼料の購入時期を延期することになり次年度使用額が生じた。本経費は次年度に速やかに使用予定であることから研究遂行上の問題はない。
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Research Products
(2 results)