2023 Fiscal Year Annual Research Report
カンナビノイドをツールとした自閉スペクトラムの画期的モデル動物の開発と治療研究
Project/Area Number |
20K16019
|
Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
縄田 陽子 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (00435140)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 自閉症スペクトラム症 / カンナビノイドCB1受容体 / 動物モデル / オキシトシン |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム症(ASD)は、社会的相互作用の障害、社会的コミュニケーション障害、制限的/反復的行動を示す異質な神経発達症である。近年、ASD児やASDの動物モデルにおいて、エンドカンナビノイド(eCB)系の異常が見られることが報告されている。本研究では、ASDにおけるeCB系の役割を明らかにすることを目的として掲げ、カンナビノイドCB1受容体ノックアウトマウス(CB1KO)を用いて、eCB系とASD様症状との関連を検討した。 最終年度は、これまでにCB1KOマウスにおいて明らかになったASD様血中変容に焦点をあて、これらの受容体リガンドによるASD様行動の改善効果の有無を検証した。結果、オキシトシン受容体作動薬またはコルチコトロピン放出因子1型(CRF1)受容体拮抗薬の単回投与は、CB1KOマウスの社会性行動の低下及び、反復行動の増加を有意に改善することが分かった。 本研究では、研究期間全体を通してCB1KOマウスでは社会的行動の低下及び、反復行動の増加等、ASDの中核症状を反映する行動変容が認められることが明らかになった。さらに、ASDのバイオマーカーとして期待されるオキシトシンやコルチコステロンに注目し測定したところ、CB1KOマウスでは血中オキシトシンの有意な低下及び、コルチコステロンの有意な増加が認められた。これらの変容に基づき、CB1KOマウスのASD様行動を改善するリガンドの探索を試みた。その結果、オキシトシン受容体作動薬、またはCRF1受容体拮抗薬は、有意にCB1KOマウスのASD様行動を改善することが明らかになった。 本研究成果により、①CB1KOマウスの新規ASDモデルマウスとしての可能性、②オキシトシン受容体作動薬及び、CRF1受容体拮抗薬を用いた将来的なASDに対する新規治療薬開発の可能性が期待される。
|