2021 Fiscal Year Annual Research Report
外因性ピルビン酸欠乏により誘導される細胞死のグルコース代謝異常の分子機序の解明
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20K16127
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
八子 英司 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (00768880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ピルビン酸 / 高グルコース / 細胞死 / PARP / 解糖系 / クエン酸回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は高グルコース・外因性ピルビン酸欠乏負荷により、短時間で広汎な細胞死が誘導されることを見出し、外因性ピルビン酸が高グルコース環境下において、解糖系-クエン酸回路フラックスの維持に重要であることを報告した (Yako et al, 2021)。本研究課題では、高グルコース・外因性ピルビン酸欠乏環境下における分子的・代謝的変化を解析し、Poly (ADP-ribose) polymerase (PARP)の活性化機構と解糖系-クエン酸回路の糖代謝制御機構を理解し、この細胞死の誘導メカニズムを明らかにすることを目的としている。PARP活性化による細胞死ではApoptosis-inducing factor (AIF)の核内移行が提唱されているが、本条件下ではAIFの核内移行は確認されなかった。また、Caspase 3/7の活性化も確認できなかった。これらのことから、本条件下ではネクローシス様の細胞死が誘導されることが推察された。 本条件下では、ミトコンドリア呼吸量の低下が確認されているがPARP阻害剤投与では改善が見られない。そのため、ピルビン酸からアセチルCoAを生成するPyruvate dehydrogenase (PDH)に着目した。PDH活性は、本環境下で顕著に減少し、PARP阻害剤存在下においても改善が見られなかった。PDH活性はPyruvate dehydrogenase kinase (PDK)により、PDHのリン酸化を介して抑制されている。そのため、PDK阻害剤により、細胞死が改善するか検討した。しかしながら、PDK阻害剤は、PARP阻害剤投与時においても細胞死を抑制しなかった。 これらのことから、高グルコース・外因性ピルビン酸欠乏環境下では、ネクローシス様な細胞死が誘導されること、ミトコンドリア呼吸量の低下にはPDH活性の減少が関与することが示唆された。
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Research Products
(6 results)