2020 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌におけるCLDN9発現の生物学的・臨床病理学的意義
Project/Area Number |
20K16176
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小島 学 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (30746970)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞間接着分子 / クローディン / がん / バイオマーカー / 子宮体癌 / 子宮内膜癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は細胞間接着分子クローディン(CLDNs)から核内受容体(Nuclear receptors; NRs)のセリンリン酸化に至る新規のシグナル経路を発見した。またクローディン-6 (CLDN6)が子宮内膜癌の予後不良因子であり、子宮内膜癌細胞株においてCLDN6過剰発現はエストロゲン受容体(ERα)依存性に悪性形質を増強することを明らかにした。ところで最近公開されたThe Cancer Genome Atlasデータベースによると、CLDN6と近縁なCLDN9のmRNA高発現が子宮内膜癌の予後不良因子である可能性が示されている。以上のことから「異常発現したCLDN9を起点とするシグナルが、ERαもしくは他のNRsの活性化を介して子宮内膜癌の悪性形質増強に作用する」という仮説を立て、子宮内膜癌におけるCLDN9の予後マーカーおよび新規治療標的としての可能性を検証した。まずラットリンパ節法により特異度が高くホルマリン固定パラフィン包埋標本を免疫染色可能な抗CLDN9モノクローナル抗体を開発した。続いて子宮内膜癌手術検体約170例においてCLDN9発現量を半定量的に評価した。その結果と患者の臨床経過を統計解析したところ、CLDN9高発現群では低発現群として5年生存率が低く、CLDN9高発現は子宮体がんの予後不良因子であることが示された。したがってCLDN9はCLDN6と同様に、子宮内膜癌の予後予測マーカーあるいは新規治療標的として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特異度が高く外科病理検体を免疫染色できる抗CLDN9モノクローナル抗体を開発し、染色条件の最適化も完了している。子宮体癌手術検体の収集、免疫染色、ならびに半定量評価も半数以上を終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、子宮体癌手術検体の収集、免疫染色、ならびに半定量評価も半数以上を終えている。続いて予後や各種臨床病理学的因子とCLDN9陽性強度とを比較解析してCLDN9発現の臨床病理学的意義を明らかにする。また以前明らかにしているCLDN6発現との関連性についても評価する。場合によっては子宮内膜癌細胞株を用いて機能獲得/欠失実験を試行しCLDN9分子機能を解析する。
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Causes of Carryover |
本研究課題と共通の物品を使用する研究課題に対する民間助成金が採択されたため、当初予定よりも小額の使用となった。本年度の余剰分は次年度での論文投稿 とそのオープンアクセス化にかかる費用として見込まれる。
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Research Products
(3 results)