2021 Fiscal Year Research-status Report
膵癌における腫瘍内DPD発現抑制化合物併用による新規5-FU療法確立への基盤研究
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20K16225
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 寛之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80791293)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵管癌 / Luteolin / DPYD / 5-FU / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はフラボイドの一種であるLuteolinがSTAT3-DPYD経路を介して膵発癌の抑制をするという我々の研究を元にしている。DPYDは5-FUの分解酵素である事に着目し、5-FUとLuteolinによる膵癌癌治療における相乗効果を検討し、DPYDの制御機構をより詳細に明らかにする事が目的である。昨年度までにDPYD低発現膵癌細胞株であるPATU-8988T、AsPC1細胞にDPYDの強制発現細胞株を作成し、DPYD発現による増殖能の亢進、5-FU感受性の低下を示した。 本年度はin vitroの実験ではDPYD強制発現細胞における浸潤能の亢進を示し、AsPC1の皮下移植においては、DPYD強制発現株はLacZ発現細胞株に比較し腫瘍サイズ、Ki67陽性率、血管新生の増加を示した。皮下移植腫瘍に対し各々3検体づつでRNA-seqを行いGene Ontology解析を行った結果、MMP9、MEP1A、MEP1Bを含むmetalloproteaseの活性が増加している事が分かった。実際にMEP1A、MEP1Bに関して、移植腫瘍に免疫染色を行った結果、腫瘍内の陽性面積は増加していた。現在MEP1AやMEP1Bについて詳細な機能解析を行っている。 一方で、Luteolinとの相乗効果については、Pdx1-Cre;KrasG12D/+;Trp53flox/+ (KPC)マウスでの実験を行っていたが、腫瘍のできる個体差が大きいため、現在Pdx1-Cre;KrasG12D/+;Trp53flox/flox (KPPC)マウスを用いて短期間の実験を行い良好な結果が得られているが、個体数の確保に難渋し有意な結果には至っていない。現在交配を重ねて個体数の確保に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初KPCマウスでの実験を計画を予定していたが、その個体の確保と個体差が大きいため、今年度はKPPCマウスへの変更を行った。その結果は比較的良好な結果が得られているが、個体数の確保に難渋しているためやや計画は遅れている。しかし、DPYD発現に関するパスウェイの同定に関しては、shRNAではなく過剰発現系を使用しているが、計画通りに進行しており、実験計画全体の方向性に変化はなく、概ね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も同様にKPPCマウスを用いた実験を行っていくが、今年度で予定しているKPPCマウスの個体数の確保は可能であると考えられる。本年度はマウスモデルから得られた膵検体を用いて組織学的な解析を行っていく。また、DPYD発現のパスウェイの同定に関しては、現在候補遺伝子としてMEP1Aに着目して実験を行っている。MEP1A遺伝子発現による、膵癌の違いを同定することができれば、新たな知見として研究成果を高めることができると考えている。
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Research Products
(10 results)