2021 Fiscal Year Research-status Report
The impact of neoadjuvant chemotherapy for immune microenviroment of rectal cancer
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20K16300
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小倉 淳司 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20867262)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 直腸癌 / 免疫微小環境 / 術前化学療法 / PD-1 / CD8 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、直腸癌において術前化学療法(NAC)が免疫微小環境(tumor microenvironment; TME)に与える影響を解明することを目的として行った。名古屋大学医学部附属病院腫瘍外科でNAC後に根治手術を施行し、生検検体と手術検体でTMEを比較できた64例を解析対象とした。TMEの評価はPD-1、PD-L1、CD8、FOXP3による免疫染色を行い、腫瘍部と間質部に分けて評価を行った。①NAC前後でのTMEの変化、②生検検体のTMEのNACの効果予測マーカーとしての有用性、③生検・手術検体のTMEの予後予測マーカーとして有用性を検証した。結果は、①いずれも統計学的有意差は認めなかったが、腫瘍部におけるCD8、間質におけるPD-1、CD8がNAC後に発現が高まる傾向を示した。②生検検体のTMEの中で、腫瘍部におけるPD-1高発現とCD8高発現を認めた群で有意にgood responderが多く、腫瘍に浸潤し活性化したCD8陽性Tリンパ球の存在が、NACの効果を予測するマーカーとして有用である可能性が示唆された。③手術検体において、腫瘍部・間質部のCD8の高発現と間質部のPD-1の高発現が、無再発生存率・遠隔再発率の有意な予測マーカーであることが同定された。この結果は進行直腸癌の標準治療であるCRTで報告されているものと同様の傾向であり、近年注目される術前CRTとNACを組み合わせたTotal neoadjuvant therapy(TNT)においても、特にinduction chemotherapyの際に、不必要なCRTの省略につながる重要な結果であると考えられる。これまで、直腸癌における術前CRTとTMEの報告は散見されるが、NACとTMEに関する報告はほとんどなく、実臨床の治療方針決定において非常に重要な新規性の高い結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は現在論文作成中である。計画がやや遅れた理由は、免疫染色したスライドガラスをデジタル化する機器の故障により評価が遅くなったことが主な理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後早急に論文化していく予定である。
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Causes of Carryover |
前述した理由で、解析に遅れが生じたために、申請期間内での論文化および学会発表などが行えなかったため、次年度に今後論文の作成および、研究結果の発表に使用する予定である。
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