2021 Fiscal Year Annual Research Report
がんの悪性化をもたらす遺伝子発現ドミノ効果の検証と意義の解明
Project/Area Number |
20K16350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡崎 慶斗 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (70826289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NRF2 / NOTCH3 / CEBPB / 薬剤耐性遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は転写因子NRF2が恒常的に活性化しているNRF2活性化がんにおいて、特異的なNRF2標的遺伝子を特定し、その中で腫瘍幹細胞性に重要な因子であるNOTCH3を発見しており、NOTCH3を制御するエンハンサー領域にて、もう一つの転写因子であるCEBPBがNRF2と協調的に働くことが、NOTCH3エンハンサーの活性化に重要であることを見出していた。 本研究では、抗H3K27ac抗体を用いたChIPシーケンスによる網羅的な解析を駆使し、NRF2活性化がんは、NRF2非活性化がんでは存在しない特徴的なエンハンサーを形成しており、そのエンハンサーを介してNRF2活性化がん特異的な標的遺伝子を制御していることを明らかにした。CEBPBはNRF2活性化がんにおいて、NRF2複合体に含まれており、多くのNRF2活性化がん特異的なエンハンサーの活性化に貢献していた。そこで申請者は、NRF2活性化がんにおけるCEBPBの機能について網羅的に検証した。まず、CEBPBはNRF2の標的遺伝子であることを証明し、ゲノム上複数の箇所でNRF2とCEBPBが非常に近接していること、同ローカスにおいてお互いが協調して結合することでエンハンサーを制御していることを証明した。さらに、NRF2活性化がんにおいて、CEBPBをノックダウンして、抗H3K27ac抗体によるChIPシーケンスやRNAシーケンスを行うことで、CEBPBとNRF2がNOTCH3を介した腫瘍幹細胞性の維持のみならず、多くの薬剤耐性遺伝子の制御を協調して行っていることを明らかにした。これらの研究成果は2020年にNature Communications誌に、また2022年にThe Journal of Biochemistry誌に受理された。
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