2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of chemokine-network causing MDSC migration in ovarian cancer microenvironment
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20K16431
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
安彦 郁 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌代謝高血圧研究部, 研究員 (20508246)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MDSC / マクロファージ / 卵巣癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
MDSC(myeloid-derived suppressor cell)と同様に免疫抑制にはたらく細胞として、M2マクロファージがある。我々は、マウスモデルを用いて、卵巣癌細胞において、B7-H3が発現するとCCL2が分泌され、マクロファージの誘導や分化を促進することを見出した(論文投稿中)。卵巣癌患者血清と正常ドナー血清において、ELISAにてCCL2を測定したところ、卵巣癌患者において有意に血清中CCL2濃度が高かった。卵巣高異型度漿液性癌患者23例の血清を用いて、CCL2とCXCL1濃度を測定したところ、CXCL1、CCL2ともに、臨床進行期が高くなると高値を示す傾向がみられた。CXCL1はMDSCの遊走を促進し、CCL2はマクロファージを遊走させることが既報で示されている。また、卵巣癌サンプルの腫瘍内のCCL2濃度とB7-H3濃度を測定したところ、両者には有意な正の相関がみられた。B7-H3発現の高い卵巣癌臨床サンプルにおいては、CD206陽性マクロファージが多く浸潤していることが免疫組織染色で示された。またこれらの臨床サンプルでは、活性化細胞傷害性T細胞が多く浸潤していることが蛍光免疫染色で示された。以上より、マウスモデルで示された卵巣癌におけるB7-H3がCCL2発現を促進して腫瘍内のM2マクロファージ浸潤を増加させているメカニズムはヒト卵巣癌においても起こっている可能性が高いことが示された。卵巣癌において、免疫抑制性細胞が単独ではなく複合的に重要な働きをしていることが示唆される結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床サンプルの収集については滞っているため、すでに取得できた臨床サンプルを用いた解析を先に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
CXCL1/2とMDSCの関係に加えて、CCL2とM2マクロファージの関係についても新規知見が得られたため、両者のケモカインについてより症例数を増やして検討を進める。
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Causes of Carryover |
学会がWEB開催になったため、旅費等が発生しなかった。また、臨床サンプル収集がまだ進んでいないため、消耗品を新規に購入する必要がなかった。翌年度にくりこして購入して実験を進める予定である。
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Research Products
(3 results)