2022 Fiscal Year Annual Research Report
活性化NK細胞を用いた新たなCAR-NK細胞療法の開発
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20K16437
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
神谷 尚宏 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任助教 (20574693)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NK細胞療法 / CAR |
Outline of Annual Research Achievements |
CD19CAR-T療法に代表される近年のCAR-T療法の成功は白血病、リンパ腫治療に大きな変革をもたらしたが、一方固形腫瘍に対するCAR-T療法は臨床応用に至るだけの成果を上げることができていない。固形腫瘍における腫瘍特異的かつ腫瘍細胞全般に発現する抗原が少ないこと、また免疫抑制的に働く微小腫瘍環境がその原因の一部と考えられている。 本研究では、NK細胞を用いたCARーNK療法の開発・改良を通して、これらCAR-T細胞における限界を乗り越え新たな領域を開発することを目標とした。 NK細胞を用いることによるメリットとしては、自然免疫細胞としての抗腫瘍活性を発揮し得ること、サイトカイン放出症候群などCAR-T療法特有の合併症が少なくなる可能性、さらに移植片対宿主病のリスクが低く第三者由来のアロCAR細胞療法の可能性があることなどが考えられた。一方、NK細胞はT細胞よりも末梢血中に循環する数が少なく、かつ効率よい増幅が困難など細胞療法に必要十分な数を確保することが難しいこと、CAR遺伝子の導入およびCAR導入後の効率よい細胞増殖が困難なことがNK細胞を用いるための問題点と考えられた。 これに対してNK細胞を効率よく増幅するシステムを構築し、NK細胞を用いた実験系を確立すること。CAR細胞の機能を検証する実験系を確立すること。NK細胞を想定した新たなCARコンストラクトを作成しNK細胞でその発現や機能を検証することを計画し研究を進めた。 最終年度である本年度はフローサイトメトリーを用いた細胞障害活性アッセイや脱顆粒・細胞内サイトカインアッセイを確立し、また新たなNK細胞用CARコンストラクトをデザインし作成した。一方、今回作成したNK細胞増幅システムにおいて安定したNK細胞増幅を得ることが困難であり、新たにデザインしたCARコンストラクトの細胞を用いた検証には至らなかった。
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