2022 Fiscal Year Annual Research Report
膵がん細胞での炎症性サイトカインIL-18の機能確認と阻害抗体を用いた治療応用
| Project/Area Number |
20K16443
|
|---|
| Research Institution | Shimane University |
|---|
Principal Investigator |
内田 有紀 島根大学, 医学部, 医科医員 (60868719)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | IL-18 / Pancreatic cancer |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
IL-18はIL-1ファミリーに属する炎症性サイトカインの一つであり、炎症誘導性シグナルにより前駆体から活性型タンパク質（cleaved IL-18 / cIL-18）となる。膵がん患者などで血中IL-18の高値が報告されており、がんの発展や浸潤・転移に寄与すると予測されているが詳細は不明である。cIL-18抑制による膵がん治療効果の観察を目的とし、機能阻害抗体を利用して本研究を進めてきた。
これまでに抗がん剤5-FU処理によりヒト膵がん細胞株MIA PaCa-2でcIL-18が誘導される現象を明らかにしてきた。このメカニズムにはPyroptosisが関与する可能性を明らかにし、その詳細については論文を作成中である。また、この現象がin vivoで再現されるかどうかを調べるため、MIA PaCa-2細胞による担がんマウスを作製した。5-FU投与後の血中cIL-18量を検討したが、コントロールに比べて有意な上昇は観察されず、使用したマウスモデルはヒト膵がんとは乖離がある可能性が示唆された。
また、研究過程においてヒトcIL-18がマウスIL-18受容体と結合しないことが明らかとなった。ヒト由来の資材を使用した担がんマウス実験ができなくなったため、マウスcIL-18に対する機能阻害抗体を新たに作製し、この成果については論文報告した。さらに、マウス膵がん細胞株を使用した担がんマウスモデルを作製し、機能阻害抗体投与による腫瘍抑制効果を検討したが、単独投与での明らかな抑制効果は認められなかった。申請者らが作製したマウスcIL-18抗体は様々な炎症性疾患モデルマウスへの投与による治療効果が観察されている。今後もIL-18高値を示すさまざまながん、あるいは炎症性疾患の研究にこの抗体を利用していきたいと考えている。
|
