2020 Fiscal Year Research-status Report
ノドパチー型CIDPの中枢神経・腎臓病変の解析に基づく神経障害機構の解明と治療
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20K16602
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
緒方 英紀 九州大学, 大学病院, 助教 (90778838)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | neurofascin 155 / contactin 1 / IgG4 / CIDP / 視覚路 / ランビエ絞輪部 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は下記のように抗neurofascin 155 (NF155)抗体陽性CIDPにおける視神経、三叉神経、顔面神経の障害の頻度を臨床的、電気生理学的、画像的に明らかにし、論文化して報告した。 【方法】IgG4抗NF155抗体陽性CIDP連続15例のうち、頭部MRI、視覚誘発電位(VEP)を施行した13例を対象とした。そのうち、12名でblink reflexが施行された。MR neurographyでは、13例全例で頚部および腰仙骨部神経根が肥厚していた。三叉神経の肥厚についてはT2WI(脂肪抑制を含む)で眼窩内および卵円孔部の三叉神経の肥厚、信号変化を評価した。VEPは全視野刺激で記録し、P100の潜時を計測した。Blink reflexはR1、ipsilateral R2、contralateral R2の潜時を計測した。 【結果】臨床的には、男女比は11:2、平均発症年齢は34歳で、顔面の感覚障害は3名、顔面筋力の低下は2名に認め、2名で視力が軽度低下していた。Blink reflexを施行し得た12例全例で何らかの異常を認めた。そのうち、R1の異常を11例(91.7%)、R2の異常を10例(83.3%)で認めた。R1潜時は、正中および尺骨神経の遠位潜時、神経伝導速度、F波潜時と有意な相関を認め、血清抗NF155抗体レベルとも有意に正相関していた。VEPでは76.9%でP100の異常を認めた。画像的には、三叉神経の肥厚、T2高信号は、それぞれ9例(69.2%)、10例(76.9%)で認めた。 【考察・結論】IgG抗NF155抗体陽性CIDPでは四肢の末梢神経のみならず脳神経(視神経、三叉神経、顔面神経)にも高頻度に潜在的な脱髄を示唆する伝導異常が存在することが電気生理学的に証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、論文として成果を報告することができ、課題は順調に進んでいると考えている。 抗CNTN1抗体陽性CIDPにおいては、ネフローゼ症候群のみならず、他の自己免疫疾患や胸腺腫を合併した症例を経験した。新たな知見となると思われるため、現在論文化を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗NF155抗体陽性CIDP症例では、視覚路の障害のみならず、頭部MRIにてT2高信号病変を来す症例も経験していることから、今後は中枢神経病変の画像的特徴を見出していく。
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Causes of Carryover |
2020年度に十分行うことができなかった自己抗体陽性ノドパチー症例に対するHLA解析用の費用として次年度に使用することを検討している。
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Research Products
(6 results)