2022 Fiscal Year Annual Research Report
ノドパチー型CIDPの中枢神経・腎臓病変の解析に基づく神経障害機構の解明と治療
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20K16602
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
緒方 英紀 九州大学, 大学病院, 助教 (90778838)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | contactin-1 / neurofascin 155 / 自己抗体 / ネフローゼ症候群 / 胸腺腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も引き続き症例の蓄積を行い、IgG4抗NF155抗体陽性症例は約140例、IgG4抗CNTN1抗体陽性例は17名に至った。IgG4抗CNTN1抗体陽性17例のうち、10例にネフローゼ症候群・顕性タンパク尿を認めた。脱髄性末梢神経障害に蛋白尿を合併した場合は、抗CNTN1抗体の測定が強く勧められる結果であった。その他、IgG4抗CNTN1抗体陽性が判明した胸腺腫合併ニューロパチーを3例経験した。そのうち1例では天疱瘡も合併していた。全例で免疫治療が有効であり、胸腺腫に合併した脱髄性ニューロパチー症例では抗CNTN1抗体の測定を考慮するとともに積極的な治療介入が望まれる。更に、血清 IgG4 1880mg/dLと異常高値を認め、腓腹神経病理にて神経上膜の血管周囲にリンパ球浸潤を認めた高齢発症、深部覚失調を主徴とした脱髄性ニューロパチー症例でIgG4抗CNTN1抗体が陽性であった。IgG4関連疾患との異同を議論する上で貴重な症例と考えられる。若年発症の割合が多い抗NF155抗体陽性ノドパチーと比較して、平均発症年齢が60歳を超える抗CNTN1抗体ノドパチーの発症機序はより多彩な可能性がある。 頭部MRI、視覚誘発電位(VEP)を施行したIgG4抗NF155抗体陽性ノドパチー13例を対象とし、視神経、三叉神経、顔面神経の障害の頻度を電気生理学的、画像的に検証した。Blink reflexを施行し得た12例全例では何らかの異常を認めた。VEPでは76.9%でP100の異常を認めた。画像的には、三叉神経の肥厚、T2高信号は、それぞれ9例(69.2%)、10例(76.9%)で認めた。IgG4抗NF155抗体陽性ノドパチーでは四肢の末梢神経のみならず脳神経(視神経、三叉神経、顔面神経)にも高頻度に潜在的な伝導異常、形態異常が存在することが明らかとなり、本研究結果は論文化して報告した。
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Research Products
(11 results)