2020 Fiscal Year Research-status Report
光療法が気分障害患者の脳に及ぼす効果:多角的な脳画像解析
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20K16651
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平川 博文 大分大学, 医学部, 助教 (60793768)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高照度光療法 / 脳画像研究 / うつ病 / 双極性障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
気分障害患者を対象とし、4週間の高照度光療法が脳に与える影響を、機能的画像である18F-FDG-PETと、構造的画像であるMRIを用いて精査している。書面にて同意を得られた気分障害患者を高照度光照射群(10,000 lux, 30min)と低照度光照射群(50 lux, 30min) に無作為に割り付け、照射前後でMRIによる画像評価を行った。高照度光照射群11例、低照度光照射群10例でMRI解析を行った。MRIの脳画像解析は、SPM12を用いた。クラスターレベルでFWE補正でP<0.05を有意とした。なお、本研究は当大学医学部の臨床研究審査委員会にて承認を得た。群間と照射前後の交互作用はFlexible factorial modelを、群内の照射前後の変化はPaired t-testを用いた。群間と照射前後の交互作用に関して、ROI解析を行った結果、右上前頭回眼窩内側部で有意なクラスターを認めた(p=0.018)。また、高照度光照射群、光照射前後の体積を比較したところ、右上前頭回眼窩内側部の体積が変化していた(p=0.003)。一方、低照度光照射群においては、光照射前後で体積が変化している脳部位は認めなかった。今回の解析結果から、右上前頭回眼窩内側部が気分障害患者に対する高照度光療法の作用点である可能性が示唆された。本結果は、2021年1月に開催された、日本うつ病学会において、「気分障害患者に対する高照度光療法と脳画像研究」という演題でポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、高照度光照射群12例、低照度光照射群12例の合計24例の被験者を研究に組み込んだ。本研究は1ヶ月の光照射と、光照射前後で18F-FDG-PET・MRIを施行する研究であるが、COVID-19の影響で、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、COVID-19の感染状況を確認しながらではあるが、被験者をさらに増やしていく。今回は、MRI解析を行ったが、今後は18F-FDG-PETの解析も行う。また、脳画像解析ソフトをSPM12の他にFreeSurferやFSLといった解析ソフトを用いて、脳の変化を多角的に解析・検討していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染状況により被験者が思うように確保できずが研究が進まなかったため次年度使用額が生じた。今後の検査費用等に使用したい。
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