2021 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍周囲肺のテクスチャ解析を用いた肺癌の新しい予後予測法の確立
Project/Area Number |
20K16693
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山崎 元彦 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30772032)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 肺癌 / テクスチャ解析 / Radiomics / 腫瘍周囲 / EGFR遺伝子 / 予後予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肺癌予後予測における腫瘍周囲肺テクスチャ解析(定量画像解析)の有用性、および腫瘍テクスチャ解析に対する上乗せ効果を明らかにする事である。 前年度は肺癌の予後因子であるEGFR遺伝子に着目し、CT画像からテクスチャ所見を大量に抽出するRadiomicsと呼ばれる評価法を用い、これによる遺伝子変異の予測能を評価した。その結果、腫瘍のRadiomics単独評価に比して、腫瘍周囲肺のRadiomicsを組み合わせる事で、EGFR遺伝子変異の予測能が向上する事を明らかとなった。 今年度はこの研究成果をまとめて2022年3月に欧州放射線学会にて発表し、国際誌に論文投稿した。さらに今年度は、腫瘍周囲肺のRadiomicsが術後の予後予測にも有用であるかを検証した。研究対象は新潟大学病院で2015年から2018年までに外科的切除を受けた臨床病期0-IIBの非小細胞肺癌234例である。画像評価は胸部放射線科医1名が全例担当し、腫瘍内と腫瘍周囲肺から合計398個のテクスチャ所見を画像解析ソフトで抽出した。原病再発までの期間、原病死までの期間、全生存期間の3つをエンドポイントとし、機械学習(ランダムフォレスト)を用いて各エンドポイントの予測能を評価すると共に、予後予測に最も重要なテクスチャ所見を明らかにした。その結果、腫瘍内のRadiomics単独評価に比して、腫瘍周囲のRadiomics解析を含める事で、原病死と全生存率の予測能が有意に向上した。一方、原病再発については、腫瘍周囲のRadiomicsを加えても予測能に有意な変化はなかった。予後予測に最も重要な因子は腫瘍周囲のKurtosisであり、腫瘍周囲肺の不均一性が予後不良因子である可能性が示唆された。以上の研究結果は2022年4月に日本医学放射線学会総会にて発表予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度で研究を完了予定であったが、達成出来ておらず、1年間延長する事とした。その理由として、研究を当初より精緻なものにするため、予後予測モデルの外的妥当性(external validation)の検証を追加する事にした為である。進歩状況としては当初の約7割程度と考え、『やや遅れている』と評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
予後予測モデルの外的妥当性を評価する。具体的には、別期間(2015年以前)に手術された肺癌症例を約150例程度追加し、この症例群においても腫瘍周囲肺のRadiomicsが予後予測において上乗せ効果があるかを検証する。モデルの外的妥当性を評価した後、予後予測に重要なテクスチャ所見がどの様な病理像を反映しているかについても検証していく。
|
Causes of Carryover |
国際学会がWeb開催となった事を受け、学会参加に旅費計上の必要性がなくなった事。これに加え、論文がまだ未採択であり、オープンアクセス費用が計上されていない事も理由として挙がる。次年度は、論文のオープンアクセス費用、学会参加費用、関連書籍購入などに費用を充てる予定である。
|
Research Products
(1 results)