2020 Fiscal Year Research-status Report
深層学習ネットワークを用いた、高リスク前立腺癌に対する個別化定位放射線治療の開発
Project/Area Number |
20K16725
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 岳郎 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (20777916)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線科学 / 放射線治療 / 人工知能 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
高精度放射線治療技術の一つである定位放射線治療(SBRT)は、病巣に高線量を集中し、周囲臓器の被曝を低減することが可能な手法で、前立腺癌への適用も開始されている。しかしながら高リスク症例に対しては良好な治療効果と安全性を両立しうる至適な計画手法がまだ確立されておらず、現在でも研究開発が必要とされている。本研究では、既存の患者データをもとに、深層学習の手法も活用して治療後の有害事象発症やQOL低下を予測するモデルを構築し、そのモデルを用いて患者の臨床背景に応じ周囲臓器に照射される線量を最適化した、有効性と安全性を両立しうる個別化SBRT計画手法を確立し、高リスク前立腺癌の治療に臨床導入することを目指している。 初年度は研究代表者の施設で前立腺癌に対する定位放射線治療を受けた患者75名のデータを用い、ニューラルネットワークを用いて、種々の患者因子(年齢、併存疾患、病期等)や、放射線治療の線量分布、線量・体積に関するパラメータと、尿路系・消化器系の有害事象発症、QOL悪化について、深層学習による予測モデル(いかなる背景を有する症例で、どの程度の線量が周囲臓器に照射されると、有害事象発症およびQOL悪化リスクが高くなるか)構築を試みた。現段階では、画像情報や前立腺周囲の各臓器(膀胱、尿道、直腸等)の線量・体積に関するパラメータの使用方法に関して追加検討が必要であり、データの再整理、解析を行っている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に予測モデルの構築を行い、2年目にモデルの有用性の検証、臨床導入の準備を行う計画であったが、画像情報や放射線治療の線量・体積パラメータの使用手法に再検討が必要となっており、研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
追加の検討を進め、有害事象発症、QOL悪化についての予測モデル構築を目指す。 深層学習に使用していない患者のデータをValidation cohortとして、構築したモデルの有用性を検証する。 モデルの有用性が検証できた場合、その予測モデルを臨床導入するための準備を進める。
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Causes of Carryover |
研究進捗の遅れにより、成果発表のための論文英文校正費用、論文投稿費用等を次年度に繰り越すこととなった。
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