2020 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療ワークフローに即した深層学習を用いた新たな肺機能画像取得システムの開発
Project/Area Number |
20K16733
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
梶川 智博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30846522)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺機能画像 / 放射線治療 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療において,治療期間中に肺機能が変化することがあり,さらに肺機能を考慮することで有害事象の発生リスクを低減できることが知られている.そのため,肺機能を正確に考慮するためには治療回毎に肺機能画像を取得することが理想的である.一方,現行手法(SPECT ventilation/perfusion, CT ventilation/perfusion など)は他機による追加の撮像が必要であり,臨床ワークフローに導入することは現実的ではない.本研究の目的は,深層学習および多様な画像処理を用い,治療回毎に取得される 3D CBCT画像のみに基づき肺換気画像を生成することである.本手法により,肺機能を考慮した適応放射線治療の足掛かりとなることを目指す. 2020年度は,その初期検討として,3D CT画像(核医学による機能検査の際に取得されたCT画像)から現行手法と同等以上の高精度な肺機能画像が生成できるかどうか確認した.具体的には,一般的な深層学習画像生成モデル(U-Net)を構築し,当院でSPECT肺血流検査が実施された50例(学習:検証=4:1)の画像データ(SPECT画像, CT画像)に対する深層学習モデルの学習・精度評価(視覚評価・定量評価)を行った.データの前処理として,SPECT画像では肺野領域におけるmin-max normalization,CT画像では[-1000, -250] でnormalization を行い,深層学習モデルが学習を円滑に進めるようにした.結果として,深層学習モデルから生成された肺機能画像とSPECT肺血流画像は視覚的にはやや一致していた.また,定量的(肺野領域におけるSpearman の順位相関係数)にも中程度の相関を示した.この結果から,深層学習を用いることで 3D CT 画像から肺機能画像を生成できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の目標は,3D CT画像に基づく肺機能画像生成深層学習モデルを構築,学習および精度検証の初期検討であった.概ねこれらの目標は達成できた.一方で,適用基準の逸脱により予定する症例数よりも使用可能な肺換気SPECT症例が少なくなる可能性が見受けられた.そのため,本初期検討では肺換気SPECT症例の代わりに,より当院での検査数が多い肺血流SPECT症例を使用した.この理由に伴い,当初の研究予定であった肺換気画像の生成だけでなく,肺血流画像を使用することも視野に入れて研究を進めていく.ただし,肺血流画像を用いた場合の肺機能を考慮した放射線治療も肺換気画像を用いる場合と同様に有用であるため,この変更による本研究の学術的意義は失われないと考えている.以上を踏まえ,”やや遅れている”と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,3D CT画像に基づく肺機能画像生成深層学習モデルの更なる高精度化を進める.具体的には,2020年度の初期検討で用いたモデルである U-Net からより高品質な画像生成を行うことができるモデル(Cycle GAN) への変更を行い,精度を評価する.評価指標として,昨年度と同様に肺野領域の一致度を Spearman の順位相関係数により定量評価する.加えて,肺機能画像生成モデルの高精度化に平行して,データ収集も行う. また,上述したように,適応基準の逸脱により使用可能な肺換気SPECTが予定する症例数よりも少なくなる可能性が考えられる.そのため,当初の研究予定であった肺換気画像の使用だけでなく,より当院での検査数が多い肺血流SPECT症例を使用することも視野に入れて研究を進めていく.
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Causes of Carryover |
概ね予定通りの使用であったが,次年度実施する研究に必要な深層学習用デスクトップPCの購入のため,次年度使用額が生じた.
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