2020 Fiscal Year Research-status Report
四次元CTから肝線維症を捉える革新的な硬度マップ構築法の開発と放射線治療への応用
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20K16789
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤本 昂也 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20867816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 四次元CT / 放射線治療 / 有限要素法 / エラストグラフィ / 肝線維症 / 機能温存 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓の放射線治療では照射された領域が線維化を生じ致命的な肝機能不全を誘発するリスクがあるため、治療前に肝線維化領域を把握し、肝機能温存を目指す治療法の確立が必要である。しかし、一般的な治療計画時に撮影できる画像はCTのみであり、計画時に線維化などの機能情報を得ることはできない。肝線維化領域の把握には MRIや超音波による硬度マップ構築法(エラストグラフィ)が最も有用であるが、普及度も低く専用装置が必要なため治療計画時の利用は現実的でない。そのため本研究では肝臓の放射線治療計画時に撮影されるCT装置による動画像(四次元CT)を使用し、肝臓の呼吸による変形と硬度の関係を構造力学的な手法でシミュレートすることで計画時に線維化領域を捉える新しい硬度マップ構築法を開発した。さらに作成した硬度マップの肝線維症に対するバイオマーカとしての妥当性の評価するために、既存の線維化診断指標である超音波によるエラストグラフィおよび採血による血液バイオマーカとの比較を行い、共に良好な相関があることを確認した。この内容は論文として投稿し掲載された。 また、MRIによるエラストグラフィとの比較を行うことで、作成した硬度マップが肝臓の領域ごとの肝線維化の画像バイオマーカとして使用可能であるか評価を行っている。さらに腫瘍への高い放射線量を維持しながら肝予備能の高い領域への放射線量を低減する肝機能温存放射線治療の実現に向けて、作成した肝硬度マップの放射線治療計画への応用に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝臓の放射線治療計画時に撮影されるCT装置による動画像(四次元CT)を使用し、肝臓硬度マップを構築する手法を確立した。また得られた硬度マップを、従来のエビデンスのある指標である超音波による硬度マップおよび採血による血清バイオマーカと比較し、良好な相関を確認した。この内容は論文投稿し掲載された。 現在は作成した硬度マップを、MRIによる硬度マップと比較および過去に肝臓の放射線治療を実施した患者において治療前後の肝機能の変化との関係の解析に取り組んでおり、計画書の計画通りに順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した肝硬度マップにより、MRIの硬度マップとの比較を行い、作成した硬度マップが肝臓の領域ごとの肝線維化の画像バイオマーカとして使用可能であるか評価する予定である。さらに、作成したマップを使用し、過去に肝臓の放射線治療を実施した患者において治療前後の肝機能の変化との関係を解析し、形態情報と機能情報(肝予備能)を考慮した放射線治療法の確立を目指していく。
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Causes of Carryover |
感染症流行のため学会発表に行くことができず、旅費が使用できなかったことが理由である。翌年分の助成金と合わせて物品購入、旅費などに充てる予定である。
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