2023 Fiscal Year Annual Research Report
IKZFファミリーの協調的な転写制御の異常によるリンパ球分化障害の病態解明
Project/Area Number |
20K16884
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山下 基 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (70869122)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 先天性免疫異常症 / AIOLOS / IKZF3 / IKZF |
Outline of Annual Research Achievements |
IKZF分子は血球分化を司る転写因子ファミリーである。IKZF生殖細胞系列のバリアントが先天性免疫異常症を起こすことが近年明らかになっている。我々はIKZFファミリーに属するAIOLOSの生殖細胞系列のヘテロ接合性ミスセンスバリアント(G159R)がB細胞欠損症の原因となることを同定した。AIOLOS異常症の分子病態はAIOLOS の機能障害だけでなく、変異AIOLOSはIKAROSとヘテロ二量体を形成することで、IKAROSの機能を障害することによることを細胞株を用いたin vitro解析、患者変 異ノックインマウスの解析により示した。 今年度は、生殖細胞系列にAIOLOSのヘテロ接合性ミスセンスバリアント(N160S、疾患原性であることは既報告)が同定された先天性免疫異常症患者の免疫学的評価を行い共著者として論文発表した。また、N160Sと相同のアミノ酸置換をマウスゲノムにノックインしたAiolos N159Sマウスの免疫学的表現型解析・分子病態研究においてAiolos N159Sマウスのリンパ球トランスクリプトーム解析を行い共著者として論文発表した。また、AIOLOS異常症や類縁疾患のIKAROS異常症の臨床的な特徴や分子病態に関する学会発表を行なった。 本研究ではヒト先天性免疫異常症の原因となる生殖細胞系列のAIOLOSバリアントに注目し、細胞株を用いたin vitro実験系や疾患原性バリアントをノックインした疾患マウスモデルを用いて、変異AIOLOSによりIKAROSの生理的な機能が阻害されることがAIOLOS異常症の分子病態の一端を担うことを明らかにした。
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