2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of endoscopic bandage using a new bioabsorbable sheet
Project/Area Number |
20K16946
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 正芳 北海道大学, 医学研究院, 助教 (90845322)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内視鏡的粘膜下層剥離術 / 消化管穿孔 / 穿孔閉鎖 / 生体吸収性シート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新規の生体吸収性シートが穿孔部を閉鎖できる能力を持ち、同時に容易に創部保護を行うことができる、内視鏡における絆創膏を作成することを目的としている。令和2年度は、コロナの影響、施設の改修工事で動物実験の開始が10月となってしまったものの、比較的その後は順調に実験が進んだ。シートの素材自体は当初の予定通り、カプロラクトンと乳酸の共重合体(50:50)から変更せずに施行したが、形態を随時変更し、シートの大きさもやや小さくすることにより、内視鏡的なデリバリーがより容易となった。また、クリップによる固定なしでも、胃ESD後の創部に作成した6-8mm程度の穿孔を塞ぐことを確認しており、一週間後までシートが残存している症例も多く見受けられた。病理学的にもシートを足場として炎症細胞浸潤を認め、穿孔部を塞いでいる可能性が考えられている。そのため今回「内視鏡用生体吸収性シート及びその製造方法」として、グンゼ株式会社と共同出願という形で特許を取得した。今後は、より簡便に使用でき確実な効果が発揮できるように更なる改良を考慮しており、追加の特許出願等も検討中である。 また今回の検討により、生体吸収性シートは穿孔の閉鎖だけではなく、ESD後潰瘍の創傷治癒を促している可能性も高いと考えられたため、今後実験を追加する予定である。さらには、胃のみならず、食道、大腸、十二指腸など、胃以外の消化管に関しても検討を予定しているが、予備的実験において十二指腸はヒトと比較し解剖学的に処置困難であることを確認しており、当初の予定にはなかった何らかの工夫が必要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響で動物実験施設の使用が約4ヶ月不可能であった。また動物実験施設の改修工事も重なり、実験再開は10月に入ってからであったが、その後は比較的順調に実験を進めることができた。また動物実験施設が使用できない状況下であっても、シートの形状や素材に関しては改良が加えられ、実用化に向けて一歩前進した。今年度は実験施設の使用に問題がなければ、当初の計画通り実験が進むと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点でも1年前と比較し、生体吸収性シートは格段に内視鏡的に使用しやすくなったが、更なる使いやすさや、確実な貼付のためにシートの改良を進めていく。また穿孔閉鎖、潰瘍部の治癒促進に関しては、別々にデータを取得し、まずは潰瘍部の治癒促進に関して臨床試験などが可能かどうかも検討していく。最終的には、本研究の目的である内視鏡的絆創膏を、穿孔部に対しても実臨床で使用可能とするために、今年度は特許の追加取得なども進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナによる学会の中止で旅費の発生がなくなり、動物実験に関しても稼働できたのが約半年であったために当初の予定より使用額が抑えられた。今年度は積極的な学会参加や、臨床研究が可能となるように他部署担当者や研究者ともディスカッションを進めていく予定である。また、動物実験に関しても穿孔、創傷治癒モデルに対して月1匹ペースで進めていく予定である。
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