2021 Fiscal Year Research-status Report
膵癌organoidを用いた進行度特異的な遺伝子解析および診断マーカーの探索研究
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20K16950
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
角田 道彦 山形大学, 医学部, 医員 (30838420)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌患者に対して超音波内視鏡下穿刺吸引生検・細胞診(EUS-FNAB)を施行して得られた組織検体を用いて、膵癌細胞の三次元培養をおこない、”膵癌オルガノイド”(PDAC-OR)を作成した。現時点では10症例でPDAC-ORの維持培養に成功し、培養開始早期と後期(10継代後)のORから抽出したDNAと、EUS-FNAのホルマリン固定標本(FFPE検体)から抽出したDNA、患者血清から得られたcell free DNAを検体として、Comprehensive cancer gene panel を用いて遺伝子変異解析を行った。FFPE検体とORの変異発現は同等であり、ORは採取検体の変異を良好に維持した培養系である事が示された。また、培養の早期と後期においては、変異遺伝子の再現性は良好であり、継代を重ねても新たな変異発現は認めなかった。また、FFPEとORで共通変異として同定されたKRAS変異は、血清中のcell free DNAでは発現を認めなかった。 よって、現時点で明らかにされた事として、①EUS-FNAB検体から安定的にPDAC-ORの維持培養は可能である、②ORはFFPE検体の変異発現を良好に維持し再現性の高い検体である、③ORは継代を重ねても新たな変異を生じる事なく安定した培養系である事、④血清中cell free DNAによるliquid biopsyは原発組織の変異再現性に乏しい、事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体を用いて新たな培養系を確立し、安定的にORを維持する事に時間を要した。また、COVID-19流行下である事や、世界情勢の影響もあり、培養関連の試薬が安定的に入手できなかった事も理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
ORの検体数を増やし、OR培地から抽出した細胞外小胞(Extracellural vesicles;EV)に内包されたmiRNAを用いて、膵癌のstageを反映したmiRNA発現についてRNA sequenceを行い評価を進める。
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Causes of Carryover |
使用予定の試薬の入手に時間を要した事から若干の次年度使用額の上乗せとなった。 もとの申請額と併せて、今年度はOR培地由来のEV抽出と、EV内包miRNAの発現についてRNA sequenceに使用予定である。
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