2022 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝炎による腸管免疫・癌微小環境動態と大腸癌への影響の解明
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20K17017
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
関 晃裕 金沢大学, 附属病院, 助教 (00733859)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 大腸癌 / 腸管免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は本邦において生活習慣病に関連する疾患として増加しているが、根本的な治療法は確立されていない。NASHは腸管における大腸癌リスクであることが報告されており、腸管の免疫細胞と癌微小環境が大腸癌の発生と進展に関与することが示唆されているが,消化管の免疫動態と間質細胞などで構成される癌微小環境に対しNASHが与える影響の詳細は解明されていない。本研究ではNASHにおける腸管の免疫動態と癌微小環境への影響を明らかとし、NASHが大腸癌の発生と進展に与える影響の詳細を解明することを目的としている。また、NASHにおいて肝臓の炎症および線維化を改善する働きが明らかとされつつある間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell; MSC)を用いることで、NASHの肝臓における炎症と線維化が大腸癌に与える影響の詳細について解明を試みている。本年度はMC38マウス大腸癌細胞株をNASHおよびコントロールマウス腸管に移植し、サイズ変化の評価を行うと共に、腸管の免疫細胞群の解明をFACSおよび免疫組織化学染色を用いて行ない、NASHとコントロールの腸管における大腸がんの発育および免疫動態の差異を明らかとしつつある。また、NASHマウスにおいてMSCが肝臓の非実質細胞であるstellate cellの活性化を抑え、非実質細胞に由来するサイトカインの産生に修飾を加えることで、実質細胞の障害を軽減させていることを見出し、全国学会にて報告を行った。令和5年度はこれらを応用し、MSCによるNASHに対する治療が、腸管における大腸がん株の増大と腸管内の免疫状態に与える影響について明らかとしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、syngenic 大腸がんmodelマウスを作成し、NASHにおける大腸癌への影響について評価を行うと共に、腸管の免疫細胞群の解明をFACSおよび免疫組織化学染色を用いて行ない、更に詳細なNASHとコントロールの腸管における大腸がんの発育および免疫動態の差異を明らかとした。また、syngenic 大腸がんmodelマウスに加え、化学発癌モデルマウスを使用し、解析を進めた。さらにMSCがNASHマウスにおいて肝星細胞への影響を開始、肝細胞の障害を軽減させていることを見出し、全国学会にて報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を継続させ、明らかとしつつあるNASHにおける腸管免疫へ影響を与える詳細機序とMSCによる治療効果について、学会並びに論文にて報告する予定である。
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Causes of Carryover |
マウス実験において、当初の予定通りに実験が進まなかったために使用額が過少となった。次年度は令和4年に施行予定であった、実験計画分のマウス購入および研究成果を論文化し報告するために使用する予定である。
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