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2020 Fiscal Year Research-status Report

膵臓正常組織に蓄積した遺伝子変異解析による膵癌発症のメカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 20K17021
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

池川 卓哉  神戸大学, 医学部附属病院, 医学研究員 (10843849)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords膵癌 / 遺伝子変異 / マイクロRNA
Outline of Annual Research Achievements

≪膵癌の高リスク患者では、病理学的に正常な膵組織にすでに遺伝子変異が広範囲に蓄積し、癌化につながっているのではないか?≫という仮説に基づき、本研究では①膵癌手術検体の癌部・非癌部の遺伝子解析を行い、病理学的に正常な膵組織で膵癌発症に関わる遺伝子変異の蓄積の有無の検証、②組織中の癌部・非癌部のマイクロRNAの解析、を行うことを目的としている。これまで、過去10年の膵癌切除例203例中、遺伝子解析の不適症例を除外した162例の手術検体からDNA抽出を行い、ターゲットシーケンス(KRAS・CDKN2A・TP53・SMAD4・GNAS)を行っている。抽出されたDNAの量は良好であり、抽出DNAを用いてターゲットシーケンスを行うことは可能であった。膵嚢胞性腫瘍の一つである膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)を併存することが、膵癌の高リスクの要因の一つとして知られている。癌部のターゲットシーケンスの結果を用いて、IPMNの併存有無による遺伝子変異の違いを、傾向スコアマッチングで背景因子を調整した各21例を抽出し、検討を行った。KRAS(IPMN併存膵癌95.2%(20例/21例)vs IPMN非併存膵癌85.7%(18例/21例)、p=0.29)、TP53(66.7%(14例/21例)vs66.7%(14例/21例)、p=0.99)、CDKN2A(47.6%(10例/21例)vs52.4%(11例/21例)、p=0.76)、SMAD4(23.8%(5例/21例)vs42.9%(9例/21例)、p=0.19)で、両群で各遺伝子変異の有無に有意差は認めなかった。現在、正常膵臓のDNA抽出・変異の解析を開始しており、今後、正常膵臓のDNA抽出・遺伝子解析を継続し、また、癌部・非癌部の全ゲノムシーケンスやマイクロRNA解析を行うことにより、さらなる検討を行っていく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

過去10年の膵癌切除例203例中、放射線治療後などの遺伝子解析の不適症例を除外した全162例の手術検体からDNA抽出を行った。ターゲットシーケンス(KRAS・CDKN2A・TP53・SMAD4・GNAS)を行っている。抽出されたDNAの量は良好であり、抽出DNAを用いてターゲットシーケンスを行うことは可能であった。現在、正常膵臓のDNA抽出・変異の解析を開始している。
また、「正常組織の遺伝子変異解析による、IPMNと通常膵癌を含めた、膵腫瘍の発生の包括的メカニズム解明」を目的として、IPMNの併存の有無による癌部の遺伝子変異の違いについて検討を行った。癌部のターゲットシーケンスの結果を用いて、IPMNの併存有無による遺伝子変異の違いを、傾向スコアマッチングで背景因子を調整した各21例を抽出し、検討を行った。KRAS(IPMN併存膵癌95.2%(20例/21例)vs IPMN非併存膵癌85.7%(18例/21例)、p=0.29)、TP53(66.7%(14例/21例)vs66.7%(14例/21例)、p=0.99)、CDKN2A(47.6%(10例/21例)vs52.4%(11例/21例)、p=0.76)、SMAD4(23.8%(5例/21例)vs42.9%(9例/21例)、p=0.19)で、両群で各遺伝子変異の有無に有意差は認めなかった。IPMNの併存有無により発生のしやすさは異なる可能性はあるが、発生した腫瘍自体の性格には違いがない可能性が考えられた。本結果については、現在、投稿準備中である。

Strategy for Future Research Activity

今後、正常膵臓についてもDNA抽出を行い、変異の解析を行っていく。抽出されたDNAについてターゲットシーケンスを行い、癌部の遺伝子変異との相違について、比較検討を行う。また、頻度の高い変異であるKRAS・CDKN2A・TP53・SMAD4についてはターゲットシーケンスで検討を行うが、頻度の低い遺伝子変異についても検討を行うため、全ゲノムシーケンスを行う。癌部と非癌部の遺伝子変異を検討することにより、膵癌に至る前の、どの段階で、どこに、どのような、遺伝子変異が起こり膵癌発生につながっているのかの解明を目指す。
また、癌部・非癌部の遺伝子解析を行い、非癌部特異的な遺伝子変異の蓄積が確認された場合には、正常組織中で特異的に上昇しているマイクロRNA Arrayにて解析を行う。正常部の遺伝子変異由来のマイクロRNAを血中でとらえることができれば膵癌の早期発見につながると考える。血中のマイクロRNA解析は神戸大学に冷凍保存されている膵癌患者のものを使用し、術後再発のない患者の手術前後の血液中で同様のマイクロRNAの発現パターンが検出されれば、正常部の遺伝子変異由来である可能性がある。正常組織の遺伝子変異由来のマイクロRNAの血中での検出が難しい場合には、「正常組織の遺伝子変異解析による、IPMNと通常膵癌を含めた、膵腫瘍の発生の包括的メカニズム解明」を目的として、IPMNの併存の有無と遺伝子変異の関連について、非癌部の遺伝子変異も含めてさらなる検討を行っていく。

Causes of Carryover

遺伝子変異解析を行った数が、予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度に今年度に行えなかった分の遺伝子変異解析を行う予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] IPMN併存膵癌とIPMN非併存膵癌の分子病理学的特徴と予後の相違2021

    • Author(s)
      池川卓哉
    • Organizer
      日本膵臓学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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