2020 Fiscal Year Research-status Report
アポトーシス調整因子を標的とした非小細胞肺癌の新規治療法の開発~根治を目指して~
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20K17200
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中道 真仁 日本医科大学, 医学部, 助教 (10837446)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アポトーシス / 非小細胞肺癌 / FOXO3a |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、薬剤獲得体制との関連性が明確でない「アポトーシス(細胞死)」に着目した新しい視点から薬剤獲得耐性の分子病態メカニズムを解明し、根治を目指す新規薬物療法を開発することが目的である。 ミトコンドリア経路を介したアポトーシスにおいてBCL-2ファミリータンパク質が重要な役割を果たすことが知られている。 ステップワイズ法を用いてEGFR-TKI(オシメルチニブ)に対する非小細胞肺癌細胞株PC9とH1975の薬剤耐性細胞を作成し、Cell viability assayにて薬剤感受性・IC50を測定し、耐性化を確認した。親細胞株と作成した耐性細胞を用いて、ERK、FOXO3a、BIMを含むアポトーシス関連因子のウェスタンブロットによるタンパク質発現解析を行い、ERKによりリン酸化されたFOXO3aが核外(細胞質)へ移行してMDM2によるユビキチン化により分解され、FOXO3aの転写活性が抑制され、BIMの発現が低下し、アポトーシス抵抗性となることを確認した。FOXO3aの核外への移行は、蛍光タンパク質GFPをつけた各細胞の作成とDAPIにてDNAを含む核の染色を行い、蛍光顕微鏡にて観察・撮影して確認した。FOXO3aレンチウイルスベクターを用いてFOXO3aとBIMの遺伝子組み換え(ノックダウン、ノックアウト、過剰発現)細胞を作成し、機能解析を行い、上記の結果を確認した。 現在は、治療候補薬剤として、Debrafenib、Trametinib、Bortezomibなどを使用して、薬剤感受性を測定し、新規薬物療法の候補薬剤を検索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した予定の通り、8項目のうち6項目を順調にクリアしている。 Covid-19による緊急事態宣言のため一時的に実験ができない状態があったが、取り戻して予定通りのペースになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、当初の予定通り、in vitroでの最適治療方法を踏まえた、ゼノグラフトモデルマウスを用いたin vivo実験、臨床組織検体 (EGFR阻害剤耐性肺癌患者)におけるアポトーシス調整因子の免疫染色と臨床情報効果の有効性のエンドポイント(PFS、OS、ORRなど)との相関についての検討を行う。
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Causes of Carryover |
ウェスタンブロット用の1次抗体、3D培養用のディッシュ、薬剤、データ解析用のPC、等概ね予定通りの予算を執行した。60万円中、17385円の残額が生じたが、ほぼ予算通りであり、翌年以降の物品費用に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)