2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K17210
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 峻志 東京大学, アイソトープ総合センター, 客員研究員 (00792061)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トラゾドン |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体ストレス応答の支流であるPERK又はその下流に位置するEIF2シグナリング(ISR形成)との間にpositive feedbackが生じることにより、細胞死に至る。EIF2シグナリングとは、翻訳開始因子eIF2aの活性化によるISR形成、ATF4の翻訳促進による発現量増加、そしてアポトーシス誘導因子CHOP遺伝子の転写活性化による発現増加、と連続するシグナル経路である。既存のISR又はEIF2阻害化合物は副作用や薬理動態的な問題のため、実用化に至っていない。最近抗うつ薬として上市されているトラゾドンにEIF2阻害作用があることが報告された(Brain, 2017)。そこで、研究代表者はトラゾドン類縁体に着目するに至った。 トラゾドンのEIF2阻害作用の詳細な作用機序は未解明である。トラゾドンは肝臓でTriazolopyridineとPhenylpiperazineに代謝される。Phenylpiperazineはセロトニン作動薬の活性があることが報告されているが、Triazolopyridineの薬理作用は不明である。私たちはATF4 luciferase assay及びトランスクリプトーム解析により、Trazodone・Triazolopyridine・Phenylpiperazineの阻害作用を比較検証した。その結果、Triazolopyridineに最も強い阻害作用を認めた。またTriazolopyridineの化学構造はEIF2阻害活性の強いインドール類縁体と似ている。そこで、薬物動態や安全性が担保されたトラゾドンを起点とし、Triazolopyridine基を構造展開することにより、新規EIF2阻害薬の開発を目指している。
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