2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性肺アスペルギルス症の病態における細菌叢、宿主因子としてマクロファージの検討
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20K17237
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
池上 博昭 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (30833511)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性肺アスペルギルス症 / 細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性肺アスペルギルス症は、致死率が高い難治性肺疾患である。これまでに慢性肺アスペルギルス症の病状進行における一般細菌(細菌叢)の関与について詳細は明らかにされていない。慢性肺アスペルギルス症と同様に気道破壊性の難治性疾患である肺非結核性抗酸菌症では嫌気性菌など他の細菌との混合感染が症状、画像所見の増悪と関連する可能性をこれまでに我々は報告した。慢性肺アスペルギルス症において肺病変部における細菌の存在が病態や疾患進行に関与することが明らかになれば、治療に難渋することが多い本症に対する新たな治療指針が得られる可能性がある。 病変部における細菌の解析には、我々が有用性を報告してきたSanger法にクローンライブラリー法を組み合わせた手法を用いる。具体的には、慢性肺アスペルギルス症疑いの症例に対して、肺病変部から直接採取した気管支肺胞洗浄液を用いて16S ribosomal RNA遺伝子をターゲットにユニバーサルプライマーを用いて遺伝子増幅を行い、その後大腸菌でクローニングを行い、それぞれに対してSanger法で塩基配列を決定し登録されている菌種との相同性検索を行った。昨年度に引き続き症例登録を継続しており、これまでに全体で25症例登録できた。細菌叢解析の結果からは細菌検出例で嫌気性菌や連鎖球菌が見られている。引き続き症例集積を行い、細菌の検出の有無における臨床経過との関連性、画像所見への影響等について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
慢性肺アスペルギルス症疑いに対して全体で25症例をこれまでに登録した。 進捗状況については本症を疑い気管支鏡検査を実施した症例のみの解析であり、また、COVID19の流行も影響し、気管支鏡検査の実施についても制限された。 慢性肺アスペルギルス症において細菌検出の有無が臨床経過に違いを及ぼすことが明らかになれば新しい有効な治療戦略が得られる可能性があり引き続き症例集積を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
症例集積は共同研究機関と多施設で引き続き行う。本研究基準に該当し、同意が得られた際は継続して登録し、臨床経過まで含めた解析を行う。最終的には結果をまとめて学会等で報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は検体保存に必要である超低温フリーザー等で費用を要したが、細菌叢解析における試薬については従来購入分の試薬で解析可能であった。余剰金については次年度のPCR検査等試薬購入費として使用予定である。
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