2023 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肺アスペルギルス症の病態における細菌叢、宿主因子としてマクロファージの検討
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20K17237
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
池上 博昭 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (30833511)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性肺アスペルギルス症 / 細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性肺アスペルギルス症(CPA)は、致死率が高い難治性肺疾患である。これまでにCPAの病状進行における一般細菌(細菌叢)の関与について詳細は明らかにされていない。 肺病変部における細菌叢の解析には、我々がこれまでに有用性を報告したSanger法にクローンライブラリー法を組み合わせた手法を用いた。具体的には、CPA疑いの症例に対して、肺病変部から直接採取した気管支肺胞洗浄液を用いて16S ribosomal RNA遺伝子をターゲットにユニバーサルプライマーを用いて遺伝子増幅を行い、その後大腸菌でクローニングを行い、それぞれに対してSanger法で塩基配列を決定し登録されている菌種との相同性検索を行った。 最終年度は産業医科大学病院においてCPA疑いで登録した24名について解析を行った。CPAと最終診断された症例は15例であり、このうち11例が16S rRNA領域でのPCRが陽性(73.3%)であった。細菌学的検討ではStreptococcus属(9例)、嫌気性菌(10例)が高頻度に検出された。診断に至らなかった9例(非CPA)との比較ではStreptococcus属が占める割合は、CPA群の中央値は36.2% (IQR 5.5-49.2) 、非CPA群は中央値13.2%(6.0-45.2)(p=0.57) で、CPA群でStreptococcus属が占める割合が多い傾向を認めた。また、嫌気性菌が占める割合はCPA群で37.9% (2.9-53.5) 、非CPA群で23.3% (6.7-64.0) (p=0.82) であり、CPA群で嫌気性菌が占める割合が多い傾向にあった。今回の解析からはCPA群においStreptococcus属と嫌気性菌の混合感染がCPAの病態形成に関与している可能性が示唆された。
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