2020 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー抑制因子Rubiconの阻害による老化制御の試み
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20K17248
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 隼 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10846679)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Rubicon / オートファジー / サルコペニア / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
①Klothoノックアウトマウスでは高リン血症を認め、老化が促進されるが、ヒトにおける慢性腎不全の高リン血症はKlothoノックアウトマウスに比して緩徐に増加すると考えられる。そのため、まずは食事によるリン負荷を行うことで高リン負荷モデルを作成することとした。また老化として慢性腎不全患者に筋力低下などのサルコペニアが多いことに着目し、筋肉の評価を行うこととした。8週齢より2%リン負荷を3ヵ月行い、grip testで筋力を評価したところ、高リン負荷により筋力が低下していることを見出した。 ②Rubiconノックアウトマウスにも高リン負荷を行い、高リン負荷による筋力低下がRubiconノックアウトで緩和されるか評価した。上記と同様の負荷を行い評価したところ、Rubiconノックアウトで筋力低下が緩和されていることが判明した。また、前脛骨筋や腓腹筋の筋肉重量も評価を行ったところ、Rubiconノックアウトマウスで筋重量が増加していることも確認できた。高リン負荷においてRubiconノックアウトがサルコペニア改善に寄与することが判明したため、今後筋肉のRubiconが重要か検証すべく筋肉特異的Rubiconノックアウトマウスを作成し、高リン負荷における筋力低下に対する影響を評価する方針である。また、2%リン3ヵ月負荷では尿リン排泄増加は認めるが、高リン血症は認めず、高リンによる影響が比較的少ないと考えられた。そのため、片腎摘を行った上で高リン負荷を行うことで尿へのリン排泄を低下させ、より高リン血症に近い状態とした上で、Rubiconノックアウトの影響を評価する方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はコロナウイルス感染症のため研究中断を余儀なくされる期間があった。また、研究実績の概要に示したように、負荷モデルを変更した上でRubiconの抗老化制御を検証することとしたため若干の遅れが生じているが、現在の慢性腎不全の重要課題であるサルコペニアをRubiconノックアウトが緩和することを見出したため、ある程度研究は進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
①遺伝子改変マウスを用いた高リン負荷に対する筋肉のRubiconの影響の検討 筋肉特異的Rubiconノックアウトマウスを作成し、高リン負荷における筋力低下に対する影響を評価する予定である。筋肉のRubiconをノックアウトすることで筋力を改善することが判明すれば、更なる機序解明を検討している。 ②高リン血症に対するRubiconの影響の検討 片腎摘を行った上での高リン負荷とし、Rubiconノックアウトの影響を評価する予定である。
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