2021 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー抑制因子Rubiconの阻害による老化制御の試み
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20K17248
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 隼 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10846679)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Rubicon / オートファジー / 高リン / 腎毒性 / サルコペニア / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
①昨年の結果にて高リン負荷においてRubiconノックアウトがサルコペニア改善に寄与することが判明したため、骨格筋でCreリコンビナーゼを特異的に発現するタモキシフェン誘導性ACTA1-cre/Esr1マウスとRubicon floxマウスを交配して骨格筋特異的Rubiconノックアウトマウスを作成した。コントロールマウスはRubicon floxマウスを使用した。8週齢でタモキシフェンを投与しCre誘導後(コントロールマウスにも同様にタモキシフェンを投与した)、12週齢より3ヶ月間2%リン負荷を行い筋力評価を行ったが、高リン負荷下における筋肉特異的Rubiconノックアウトに筋力低下を緩和する効果は認められず、むしろ筋肉特異的Rubiconノックアウトの方で筋力低下を認めた。なお本実験では、コントロールマウスにおいて高リン負荷による筋力低下が乏しかった。 ②上記の通り、タモキシフェンによる影響を除外することはできないが、2%リン3ヵ月負荷による筋力低下効果が乏しかったため、片腎摘を行った上で高リン負荷を行うことで尿へのリン排泄を低下させ、より高リン血症に近い状態とした実験を計画することとした。7-8週齢で片腎摘を施行し、1週間後より1.29%リン食(コントロール群は0.29%リン食)を1ヵ月負荷し、筋力評価を行った。片腎摘により死亡したマウスがおり、マウスの個体数が確保できなかったことも要因であるが、本モデルでも高リンによる筋力低下が認められなかった。 ③ 筋力低下の評価と同時に、高リン負荷による腎毒性の検討も進めた。オートファジーはミトコンドリア品質管理を介して腎保護に寄与するが、次第にオートファジー後期段階のオートファジー・リソソーム融合不全を起こしオートファジーの保護作用を打ち消してしまうこと、その一因としてRubicon上昇が関与することを見出した(論文投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験モデルにより高リンによる筋力への影響が異なったため、ノックアウトマウスによる比較実験に遅延が生じている。一方、高リンによる腎毒性にRubicon上昇によるオートファジー不全が深く関与することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験モデルにより高リンによる筋力への影響が異なるため、再現性のとれる実験モデルを探求・確立する。再現性のとれるモデルが確立されれば、野生型相当マウスとRubiconノックアウトマウスで比較し、高リンによるサルコペニアに対するRubiconの役割を明らかにする。高リン腎障害モデルについては論文投稿へ進める。
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