2021 Fiscal Year Research-status Report
Na輸送体を効果的に解析可能な腎尿細管3次元培養モデルによる高血圧発症機序の解明
Project/Area Number |
20K17252
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
水口 建 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30814511)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎尿細管スフェロイド / 3次元培養 / Na輸送 / アミノ酸輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に続き、予定していた研究計画の続きを行なった。まず、これまでに本研究で確立した3次元培養モデルはNa輸送能が活性化していることが判ったため、その理由を求める目的でRNAシークエンス解析の結果を参照してさまざまなNa輸送体を個別に検証した。発現している可能性があると推測されたNa/グルコース、Na/リン、Na/アミノ酸などのさまざまなNa輸送体に対する1次抗体を購入して、免疫蛍光染色法やウェスタンブロット法にてタンパク質の局在や発現量を調べた。その結果、近位尿細管に発現しているSGLT2やNaPi2aなどのタンパク質発現はほとんど認められなかった。一方で、Na/アミノ酸輸送体であるSLC6A15の発現を免疫蛍光染色法で確認することができ、興味深いことに2次元培養ではタンパク質の発現は認められないが、3次元培養では管腔側に局在して発現している可能性が得られた。3次元培養モデルではNa/アミノ酸輸送体(SLC6A15)の遺伝子とタンパク質の発現が亢進している仮説について、さらに機能的に調べるため細胞内の遊離アミノ酸測定を行なった。3次元培養モデルの細胞を処理したのち、アミノ酸分析機を用いて遊離アミノ酸を定量解析した。その結果、3次元培養モデルの細胞内では遊離アミノ酸量が増加していることが判り、アミノ酸輸送が実際に亢進している可能性が示唆された。今後はSLC6A15が関与している個々のアミノ酸輸送やNa輸送について、SLC6A15に対してRNA干渉することでさらに詳しく調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度までの得られた研究成果をまとめて英文誌に発表することができた(Exp Cell Res. 2021;404(1):112630).さらに本研究で確立できた3次元培養モデルを活用して、Na/アミノ酸輸送体のSLC6A15に着目した研究を進めることができるか検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Na/アミノ酸輸送体のSLC6A15に着目して、RNA干渉を行うことでNaやアミノ酸の輸送について機能的な解析を行う。個々のアミノ酸輸送についても解析することは可能か検討する。また、3次元培養モデルでは細胞内アミノ酸量が増加している点に着目して他の発展的な研究(虚血モデルなど)が可能か検討する。
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Causes of Carryover |
2021年度の初めは論文投稿の準備に主力をおいたことと、順調に実験を遂行することが出来たため次年度に使用する予定である。
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