2021 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞におけるXBP-1を介した糖代謝制御の機序解明
Project/Area Number |
20K17486
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺井 愛 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (80750182)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / インスリン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病におけるインスリン分泌低下の要因として膵β細胞における小胞体ストレスの関与が示されつつある。これまでに糖尿病モデルマウスの膵島においてspliced formのXBP-1(XBP-1s)の発現が上昇していることを確認し、またXBP-1sを過剰発現させたMIN6細胞や、膵β細胞特異的XBP-1s過剰発現マウス(RIP-XBP-1s Tgマウス)においてはインスリン分泌低下を認めた。糖代謝の悪化に伴いインスリン需要が増加すると、小胞体ストレスによって恒常的にXBP-1sの発現が誘導され、XBP-1sの発現上昇がインスリン分泌低下を介して更なる糖代謝の増悪をもたらすというvicious cycleを形成している可能性が考えられる。本研究ではこの仮説をもとに、糖代謝の悪化によって膵β細胞に惹起される小胞体ストレス応答の鍵分子としてのXBP-1が、どのようにストレスに応答し、その結果膵β細胞の分化やインスリン分泌がどのように変化するのかを解明するための検討を進めている。 本年度はXBP-1s過剰発現MIN6細胞およびRIP-XBP-1s Tgマウスにおけるインスリン分泌低下の機序の検討を下記に沿って進めた。 (1)昨年に引き続き、XBP-1s過剰発現MIN6細胞のマイクロアレイ解析より、Pdx1を介するインスリン分泌低下およびその他の経路について分子メカニズムの探索を進めた。(2)小胞体ストレス下におけるXPB-1s過剰発現MIN6細胞の遺伝子発現について検討を行った。(3)Tgマウスの膵島におけるApoptosisや増殖を含む組織学的の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行により、研究活動やマウスの交配・飼育を停止せざるを得ない時期があったことが研究の遅れの原因となった。 引き続き、所属機関の新型コロナウイルス感染拡大防止のための活動制限指針に従って、研究活動を継続していく。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 病態モデルにおけるXBP-1s発現制御と病態におけるその役割の解明:糖尿病モデルマウスにおいて、経時的なXBP-1s発現量と下流の分子の発現、小胞体ストレスセンサーの活性、インスリン分泌能との関連を検討し、病態モデルにおけるXBP-1s発現制御とその役割を解明する。 2. XBP-1sによるインスリン分泌制御機構の解明:RIP-XBP-1s Tgマウスにおけるインスリン分泌低下の機序につき次の解析を続ける。(1)Akitaマウスとの交配、高脂肪食負荷等によりTgマウスに小胞体ストレスを誘導し、小胞体ストレス負荷時におけるXBP-1s過剰発現のインスリン分泌に与える影響を評価する。(2)XBP-1s過剰発現MIN6細胞ではPulse chase実験において成熟インスリンの生成低下を認めており、今後Tgマウスの単離膵島を用いたPulse chase実験を行いTgマウスのインスリン生成能について評価する。(3)Lineage tracingを用いて、RIP-XBP-1s Tgマウスの膵島における膵β細胞の脱分化の有無を確認する。 3. 膵β細胞におけるXBP-1s過剰発現の発生・成長・糖尿病病態形成への影響を検討:ドキシサイクリン誘導性に膵β細胞特異的にXBP-1sを過剰発現させるトランスジェニックマウスを作製し、インスリン分泌能や単離膵島の解析、免疫組織学的検討などを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により当初の計画よりも進捗が遅れており次年度使用額が生じた。次年度の研究遂行のための物品購入・マウス交配のために使用する。
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