2020 Fiscal Year Research-status Report
Bioengineering of functional bladder substitute using tissue decellularization and autologous derived bladder cells
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20K17552
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
出口 幸一 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (00747082)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 組織脱細胞化 / ヒト膀胱上皮細胞培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,細胞外マトリックスに膀胱由来細胞を播種することで組織を三次元的に再構築し,移植可能な人工膀胱組織を作成することを目標としている.本年度は,①その足場となる細胞外マトリックス作成手法の確立,及びその評価を行い,②膀胱細胞上皮細胞の細胞ソースの取得,および培養手法の確立を行った. その①:生後1週齢の幼若ブタ(体重3kg前後)より,膀胱組織を回収した.膀胱に26Gエラスティックカテーテルを尿道側より挿入し,尿膜管側からのリークは可及的に閉鎖し漏れのない状態とした.これまでにわれわれが確立してきたDET法を応用し,脱細胞化の基礎実験を開始した.インフュージョンポンプを使用し,4% Sodium deoxycholate 4時間,PBS 1時間,DNAse 100 kunits/ml 3時間注入を1サイクルとして膀胱脱細胞化の効果を確認した.本法1サイクルで膀胱は十分に脱細胞化され,組織中遺残DNA量は0.1 ng/mg wet tissueまで低下し,有効な脱細胞化が行われ,組織移植に使用可能な基準に達することができた.そのため,今後幼若ブタ膀胱組織脱細胞化はDET法1サイクルで行うこととした. その②:ヒト泌尿器科手術の余剰検体より,膀胱上皮組織一次培養の確立を行った.検体は無菌的に運送し,コラゲナーゼとスクレイピング法を用いた物理的細胞分離を行い,シングルセル化してプレートにて播種した.細胞培養液としては抗生物質を添加しないKeratinocyte serum free medium completeを利用し,1週間で継代することとした.当初無菌的培養の確立が難しく,細菌のコンタミネーションの問題が発生したが,手技的な改善によりコンタミネーションの頻度は減少し,10継代程度まで継代可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膀胱脱細胞化手法が確立したことで,今後必要に応じて脱細胞化足場を作成できる体制が整った.また,膀胱上皮細胞の培養手法も確立したため,上皮細胞に関しては実験に利用可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
脱細胞化組織に関してはほぼ確立したと考えられる.今後は無菌化,保存する方法を検討する必要があり,抗生物質の使用と放射線照射の二つの方向から検討することを予定している. 膀胱上皮に関しては,現在培養しているものは単層培養であり,膀胱上皮として成熟した機能は有していない未熟な状態であると考えられる.先行研究により,膀胱上皮を培養条件下で分化誘導する手法が報告されており,in vitroで分化誘導を行うことを次の目標とする.但し,三次元培養を開始する段階について,未熟な状態と分化誘導した状態でどちらが好ましいかについては検討する必要があると考えられるため,可能であれば,分化前・分化後の二つの段階で三次元培養の成功率を比較する必要があると考えている.
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Causes of Carryover |
調達方法の工夫などにより当初計画より経費の節約ができたため、次年度使用額が生じた。次年度の実験内容をより充実させるために使用予定である。
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