2020 Fiscal Year Research-status Report
肝類洞閉塞症候群に対する早期診断のためのバイオマーカーの確立と新規予防法の開発
Project/Area Number |
20K17607
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大畠 慶直 金沢大学, 医学系, 助教 (10781130)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 肝類洞閉塞症候群 / PDE-Ⅲ阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
VODラットモデル(脾臓の皮下への埋め込みは全身麻酔下に行い左肋弓下切開で脾臓を確保し皮下ポッケットを作成し腹膜・筋層, 皮膚を閉創)の作成し ① モノクロタリン経口投与群(MCT群), ② MCT経口投与+ミルリノン脾臓注射群 (MCT+MIL群) ③ コントロール群(CONT群)の3群に分け採血, および肝臓組織を採取し比較した. まずは試験的に各群5匹ずつで実験を行った. 採血では血小板数を評価すると同時に肝障害の評価としてビリルビン, AST, ALTを評価した. 内皮機能障害の評価としてヒアルロン酸を計測した. 組織標本からは類洞内皮の脱落, うっ血, 血管外血小板凝集を評価した. 肝臓はMCT群は肉眼的に暗褐色に変色し顕微鏡的には中心静脈周囲の肝細胞が脱落・出血していた. 一方MILの脾注を行った群では肝臓の肉眼所見はCONT群と同様で顕微鏡的にも中心静脈領域の所見は改善を認めた. 血清学的にはAST, ALT, Bil, LDHはMCT群で上昇する一方でMCT+MIL群ではCONT群と同程度まで改善を認めた. 更にヒアルロン酸はMCT群で著明な上昇を認めMCT+MIL群では改善を得た. 血小板数はMCT群では低下したがMCT+MIL群において改善を認めた. MILによるVODの予防効果は肝臓の肉眼的所見, 顕微鏡的所見, 血液生化学的検査結果で確認することができた. またMILを投与する事により血性ヒアルロン酸値が改善し血小板数が維持されたことよりMILによるVOD予防効果は類洞内皮保護作用であることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDE-Ⅲ阻害薬の類洞内皮保護作用によるVOD発症予防効果が確認できた. 概ね順調に進呈んしていると考えれれる. 但し, 実験に供与したラット数が少なく更に実験を進めていく必要がある.
|
Strategy for Future Research Activity |
PDE-Ⅲ阻害薬による類洞内皮保護作用, VOD予防効果を証明するためには実験に供与するラット数を増やし統計学的な処理が必要となる.
|
Causes of Carryover |
実験に供与したラットの数が想定より少なくなったために生じた. 次年度にラットの実験を追加して行い使用する.
|