2020 Fiscal Year Research-status Report
術後肝内再発抑制法開発に向けた肝癌幹細胞特異的なHLA抗原ペプチドの同定
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20K17619
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
兼清 信介 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教(特命) (80555730)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の転移は予後不良の主因であり、転移・再発抑制は、患者QOLを改善及び生存期間延長も期待される。所属研究室では独自技術により、癌幹細胞としての顕著な表現型(高い転移能及び抗癌剤耐性) を示す癌幹細胞様浮遊細胞塊(Cancer stem-like sphere cells, CSLCs) を誘導し、臨床検体との統合解析から、CSLC特異的遺伝子を同定してきた。CSLC特異的遺伝子発現を指標とした一細胞解析及び質量分析によるpeptidome解析により、転移抑制免疫療法に有用なペプチドワクチンを開発する。 令和2年度では、新たにCSLCにおけるHLA拘束ペプチドの単離同定に向けた予備試験を行ってきた。本研究では日本人に多いHLA*A24:02を主標的として、抗ヒトHLA*A24:02抗体を用いての免疫沈降により濃縮したペプチドを質量分析により網羅的に解析を行う(peptidome解析)。ハイブリドーマから精製した抗体を用いて作製したセファロースビーズカラムを用いて得た、HepG2細胞株ライセートからの免疫沈降物に対して質量分析の前処理条件検討を行った。その結果、1x10^7細胞数相当から信頼性の高い9-merペプチドを265個得た (ペプチド長を限定しなければ684個)。これらのペプチドのほとんどはHLA結合コンセンサス配列を示していたことからpeptidome解析の実験系を確立できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質量分析計を用いたpeptidome解析には、共同研究先の熊本大学の設備を用いている。しかしながら、COVID-19の影響により令和2年度は熊本大学に赴いての実験が滞り、進捗にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
peptidome解析の実験系は構築できており、peptidome解析を推進する。また、得られたペプチド配列を構成するタンパクの遺伝子発現との対応を解析するためにRNA-seqおよびscRNA-deqのデータを取得していく。さらに、上記遺伝子・タンパク発現と予後との関連についても解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19により共同研究先での解析ができなかったため。質量分析を行うにあたって共同研究先実地 (熊本大学) での実施が困難となった場合でもweb会議等も活用して実施する。
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Research Products
(10 results)