2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K17655
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松隈 聰 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10634743)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌幹細胞 / 免疫逃避機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、誘導した膵癌幹細胞様細胞における免疫抑制性表面マーカーの解析を中心に研究し、その成果を論文として発表した。今年度の経費は、主に上記の研究を遂行するための試薬代、細胞培養維持費、臨床検体の標本作成等に使用した。
1.誘導した膵癌幹細胞様細胞においてPD-L1の発現は上昇し、HLA-ABCの発現は低下していた。さらに膵癌幹細胞様細胞のうち、細胞表面にCalreticulinを発現している細胞はPD-L1の発現亢進、HLA-ABCの発現低下の特徴は、さらに顕著であった。一方で、細胞がマクロファージからの貪食を逃れるanti-phagocytic signalであるCD47の発現は、予想に反して、誘導した膵癌幹細胞様細胞において、むしろ低下しており、発現の多寡とCalreticulinの発現は相関しなかった。本研究の成果は、Pancreas誌(2021, 50 (3): 405-413)に掲載された。なお本研究の遂行のため、経費を用いてFlowcytometryおよびWestern blotを行うための抗体、試薬などを購入した。
2.膵癌幹細胞様細胞においてCathepsin Bが高発現していること、および膵癌根治切除後の切除標本におけるCathepsin Bの発現多寡と切除後の予後が関連していることを見出した。本研究の成果は、Oncology Letters誌(2021, doi: 10.3892/ol.2020.12291)に掲載された。本研究の遂行のため、ELISA等を行うための試薬等を経費を用いて購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
細胞の誘導にトラブルが生じたことが最も大きな要因であった。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞誘導方法を確実に行い、令和3年度は、膵癌幹細胞様細胞から分泌される可溶性免疫抑制物質の同定や膵癌幹細胞様細胞と免疫細胞(マクロファージ、T細胞)の共培養システムの開発を進めていく。
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Causes of Carryover |
細胞誘導にトラブルが生じたため、予定した実験を行うための細胞が準備できず、実験が遅延したため、予定より助成金使用額が少なくなった。令和3年度は、未使用分の助成金を使用し、可溶性免疫抑制性物質の網羅的検索や癌幹細胞様細胞と免疫細胞の共培養システムの開発などに実験を展開していく予定である。
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Research Products
(3 results)