2020 Fiscal Year Research-status Report
浸潤性膵管癌のがん周囲微小環境-特に神経・退形成性変化-の役割の解明
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20K17704
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
岩崎 寿光 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 外科学, 助教 (10801962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経浸潤 / 腫瘍内神経と免疫 / 退形成性変化 / 腫瘍硬度 / 細胞増殖 / 細胞遊走 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)浸潤性膵管癌(PDAC)組織中の神経の形態変化・分布について。 外科切除検体で神経を免疫組織化学染色で標識、評価した。PDAC組織において神経に生じる形態学的変化・分布は大きく2つのパターンに大分可能であり、腫瘍全体における局在とも関連すると考えている。神経の形態変化とその周囲に存在する免疫細胞profileとの関連を検証中であり、腫瘍組織中における神経-免疫の関係と、生物学的悪性度・治療への反応について関連を探索している。 (2)PDACにおけるADAM28発現と腫瘍発育との関連について。 ヒト膵癌切除検体を用いた免疫組織化学染色(IHC)では、殆どの症例でPDAC細胞のADAM28発現を確認しており、腫瘍分化度とも関連していた。Immunoblot法では膵癌組織に特異的なADAM28発現を認めた。また、IHC,Immunoblot法の両方で、化学療法後の症例では発現程度の低下が認められ、腫瘍の悪性度あるいは治療効果の指標としても着目している。ADAM28を発現する膵癌細胞株を用いたアッセイでも、増殖とADAM28 との関連を確認している。 (3)画像によるPDACの評価について。 3.0TのMRI装置を用いた拡散強調画像に注目して研究している。PDACに特徴的な線維化に富んだ間質反応(Desmoplastic reaction:DR)の程度の各症例間における差が、MRIデータから算出されるApparent diffusion coefficient(ADC)値に反映されるという仮説を立てた。そして、MRI画像によって、PDACの悪性度、化学療法への効果予測・効果判定を行うことを探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同一PDAC症例で、化学療法の前後における発現蛋白の変化の解析を行うため、治療前の生検検体の採取に努めているが、生検手技が比較的難しいこともあり、生検サンプル集積に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)浸潤性膵管癌(PDAC)組織中の神経の形態変化・分布について。これまでは、腫瘍最大割面を用いての評価を主に行ってきた。今後は、標本の全割面において、神経の形態・分布を観察し、腫瘍中心部と腫瘍辺縁部における神経の変化の特徴づけと、それの膵癌発育における意味づけを試みる。 (2)PDACにおけるADAM28発現と腫瘍発育との関連について。ADAM28抗体を用いたアッセイを行う。特にマウスを用いたin vivo実験では蛍光と発光遺伝子(ffluc-cp156)を導入した細胞を用い、PDACの浸潤・転移との関連を評価する。 (3)外科的切除症例の化学療法前後の所見から導かれた仮説検証のために、切除検体の組織学的構築(コラーゲン等)を病理組織学的に検討する。さらに切除不能膵癌症例の中・長期的予後とMRI画像データの比較検討も行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染の影響とその対策の為、動物実験棟への出入りが制限された期間があり、マウスを用いた実験の為の支出が無かった。 海外学会への参加も予定していたが、それも実行できなかった。
次年度はマウスを用いた実験へ使用する予定。
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