2021 Fiscal Year Research-status Report
高ヒスチジン糖タンパク質に着目した肺線維化疾患に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
20K17747
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
塩谷 俊雄 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (90851246)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / 肺線維症 / ブレオマイシン / 高ヒスチジン糖タンパク質 / 肺移植 / 早期移植肺機能不全 / 慢性肺移植片機能不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブレオマイシン(Bleomycin, BLM)1.5 mg/kgの気管内投与によるマウス肺線維症モデルの作成を施行していたが、投与後死亡症例数も多く、また投与後の線維化形成も安定した結果が得られないため、高ヒスチジン糖タンパク質 (HRG)の投与は実施できていない。 HRGは好中球の形態・機能の維持効果、血管内皮細胞の保護効果を有することが知られており、これらは肺移植後の早期移植肺機能不全 (PGD)とも関係していると考えられた。また、PGDは末梢気道の線維化を主体とするような慢性肺移植片機能不全 (CLAD)の原因の一つであることも報告されている。当研究室で保有している成人肺移植患者の血液検体 (n = 68)を用いてELISA法による血漿HRG濃度測定を施行した。肺移植後72時間目における血漿HRG濃度に注目し、重度PGD群 (n = 7)とPGD無発症群 (n = 43)、中等度PGD群 (n = 18)で比較検討したところ、重度PGD群はその他のグループと比較して有意に血漿HRG濃度が低下していることを確認した (PGD無発症群 vs. 重度PGD群, P = 0.044; 中等度PGD群 vs. 重度PGD群, P = 0.040)。また、肺移植後の予後予測因子としての血漿HRG濃度の有用性を検討するため, ROC曲線を作成したところ, カットオフ値を34.4 ug/mLとした場合, AUC 0.61 (感度0.44, 特異度0.80)であった. 全生存期間 (OS)およびCLAD無発症期間 (CLAD-free survival)において, 血漿HRG濃度34.4 ug/mL以上の群は血漿HRG濃度34.4 ug/mL未満の群よりも有意に良好であることを確認した (OS, P = 0.037; CLAD-free survival, P = 0.046)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マウス肺線維症モデルの安定した作成が困難であり、実際の血漿HRG濃度測定やHRG製剤投与による肺線維症モデルへの抑制効果に関しては検討が行われていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス肺線維症モデルの安定したモデル作成が達成できないため、肺線維症モデルでのHRG製剤投与による肺線維化抑制効果を検討するのが困難である可能性がある。HRGには好中球の正常化・静穏化、血管内皮細胞への保護作用があるとも報告されていることから、ブレオマイシンによる肺障害以外の肺障害(虚血再還流障害など)におけるHRG製剤の有効性を検討することも考慮する。
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Research Products
(3 results)